そうだよねー。赤井さんてFBIだもんなぁ。
なんてしみじみ考えてたら、ジンさんのことが浮かんできた。
ジンさんにいろいろ買ってもらったけど、よくよく考えたらジンさんのお金ってさ……。
「うーん……?」
「どうかしましたか?」
食後のデザートを食べてて、ふと頭に浮かんでしまったジンさんの財布事情。
頭を過った事がどうしても離れない。
デザートを食べる手を止めて考え込んでたら、沖矢さんが片目を開眼させてわたしを見た。
「な、何でもない、です!
てか、沖矢さん開眼しないで!!ほんとドキドキしちゃうから!」
「いい加減慣れてもらえませんか?」
「無理です。
沖矢さんの中に赤井さんがチラリとするだけで、萌える」
何だろう沖矢さんが開眼するだけなのに、色気が駄々漏れなんだよなぁ。ぐふふ……。
「そうですか。
……それで?何か悩み事でも?」
「それ、聞いちゃいますか?」
話を逸らせるかと思ったけどダメか。
「ええ。気になるんです。茜さんの事が」
深い緑色の瞳がわたしを見つめる。あー、ヤバいかっこいい。
「え?えー?
ダメですよー。わたしが愛して止まないのはジンさんだけなんで」
「それは見ていれば分かります。ですが、何故でしょう。貴女を見ていると妙に世話を焼きたくなってしまう」
おもむろに沖矢さんが腕を伸ばして、その人差し指がわたしの口元を拭った。
「付いてましたよ。クリーム」
「…あ、ありがとうございます」
パンナコッタ…違う。
なんてこった。
デザートのパフェのクリームがついていたとか恥ずかしすぎる。
ていうか、沖矢さんなんでそんなに色っぽいの?
そして、どういたしましてって言いながら、クリーム舐めるのやめてーー!
恥ずかしすぎて死ねる!
「それで?
君の表情を曇らせている理由はなんだ?」
「え、えー……」
がっつり赤井さんが出てきてるよ!
もう、観念して言うしかないかぁ。
「あのさ、ジンさんにいろいろ買ってもらったんだけど、よくよく考えたらジンさんのお金ってさ、悪いことをして得ているもんじゃん?」
だから、なんだかなぁーって
「貴女は何も考えてないようで、変なところで敏いんですね」
「へん?
変かなぁ?誰かの不幸で成り立つ幸せってなんか罪悪感だからさー。
なんかたまにモヤモヤしちゃうのよ」
てか、沖矢さんさらっとわたしをディスってない?
でも、沖矢さんの声なら凡愚と言ってもらいたい!
いや、違う違う。
「ですが、貴女はジンがどういう人間か知って付き合ってるんですよね?」
「う、うん。
そうだけど、さ……。
ジンさんのことは大好きなんだけどさ」
ちょっと不安になっちゃう時があるのだ。
「なら、それが全てじゃないのか?
ジンの全てを受け入れる覚悟があるのなら、それでいいと思うが。
それとも、そんな覚悟も無くジンと付き合ってるのか?」
沖矢さんの視線が鋭くなるのを感じた。
てか、見た目と声色以外もう赤井さん全開なんですけど。
「そんなわけない!ジンさんの全部引っ括めて纏めて愛してるもん。それにジンさんだって、わたしに応えようとしてくれてるし」
「君がちゃんと理解しているのならそれでいい。
過去よりも今を大事にすればいいさ。
そしてこれからのことを考えるんだな」
「う、うん?…そういうことでいいのかな?」
「あまり難しく考えると熱が出るぞ?」
つん、とわたしのおでこを小突く沖矢さん、というかもはや赤井さん。
「あのさ、ジンさんもだけど沖矢さんというか赤井さんも、わたしのこと何だと思ってるの」
「そうだな……手のかかる妹ってところだな」
「……妹かぁ。
じゃあ昴お兄ちゃんだね!」
「そこは秀兄ではないのだな」
「そこは秀吉さんや真純ちゃんの特権ですからねー。
わたしは沖矢さんの妹で十分!
腹違いの種違いの兄妹ってことで」
「それはもはや他人だな」
「いいのいいの。人類皆兄弟って言うでしょ?」
よし決めた!沖矢さんの妹ポジションになろう!
ねくすとちゃぷたー→
bkm