鬼叺 novel | ナノ
嘘つき

「俺、影山くんが好き。」
「!」
「って言ったら、どうする?」

一瞬でも告白されたかと思ってしまった僕は、本当にバカ。
だって、相手は狩屋くん。
いつも思わせぶりな態度に騙されて、僕は悲しい思いをしているのに。

「ちょっと、反応無し?」
「……狩屋くんは、嘘つき、です。だから、騙されませんでした。」
「、影山くん?」
「でも、そういう嘘は、みんな騙されちゃいます。だから、そういう嘘は、ついちゃダメです。悲しくなっちゃう人がいますよ。」

ほら、目の前に、悲しくなっちゃった人が。
なんて言えなくて、目が合わないように視線を逸らすことしかできない僕。
きっと、ノリが悪い奴って思われてるんだろうな。
恋人は無理でも、せめて友達くらいには、親友くらいには、好きになってもらいたいって思ってたけど、それも無理かな。
なんだか、考えれば考えるほど、気が遠くなっていくよ。

「影山くんは、俺が嘘ついてるか、嘘ついてないか、わかるの?」
「……わかります。」
「本当に?」
「、はい。」
「ふーん。なら、影山くんも嘘つきだ。」
「え?」
「だって俺、今、嘘ついてないもん。」



「俺は、本当に、本気で!影山くんが好き。」
「、っ!う、そ、」
「嘘じゃない!」
「う、!」
「信じてよ!」
「ぜ、…………絶対、?」
「絶対っ!」

……そう断言されたら、信じるしか、ないじゃないですか。

頭は考えてたこと全部吹っ飛んじゃうくらいぽかぽかして、身体中も凄く熱いけれど、ほっぺただけ、涙で冷たい。

「……信じてくれた?」
「は、はいぃ、」
「影山くんは?俺のこと、好き?」
「好き、です、」
「そっか、知ってたけど、嬉しいな。俺たち両想い。」

今、さらっととんでもないこと言われたような。
ううん、そんなことより、僕と、狩屋くんが、両想い!
う、わぁ、信じられない、けど、本当!

「じゃあ、これからは、ひかる、だね。」

ぼんっ。

「ひ、ひかるっ!?」

僕に両想いは、早過ぎたみたいです。



(な、名前っ、名前でっ!話が急に進みすぎっ!つ、ついていけない、よ……!)

(あれ、いきなり名前呼びはダメだった?けど、俺も早くマサキって呼ばれたいしなぁ。)



12/02/14


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