鬼叺 novel | ナノ
墜落論3

!京天←雨
 雨天のセックスを京が見てるだけ。





他人のセックスを生で見たのは初めてだった。
その姿はあまりにも滑稽で、どんなに綺麗事を並べでも動物の生殖行為にしか見えず、穢らわしいとさえ感じた。

「あ、あっ、っ……、!」
「可愛いよ天馬。もっと声出して。」
「、たい、よぉ。」
「なぁに、天馬。」
「ねぇ……、キス、してぇ、」
「いいよ、何回でもしてあげる!」

血の気が引いていくこの感覚は、最愛の人を汚される悲憤なのか、こんな事をさせている自分への悔恨なのか、分からない。
ただ表情を変えず何も考えてない体を装って、見つめるだけ。

ふと気付くと無意識に、自分の右手を陰部の上に置いていた。
苦しいくらいズボンを押し上げるそれに、結局は自分も動物なのだと思い知る。
落胆したのも束の間、半ば自棄になった俺はチャックを下ろし自身を取り出すと、目の前にあるオカズを見ながら自慰を始めた。

「あ、天馬がエロいから、剣城くんも興奮しちゃったみたいだね。」

そう明るく言う雨宮は全く笑っていない。
むしろ目は据わっていて、大きく開いた瞳孔がゆらゆら揺れている。

「!、そこっ、だっめっ、んんっ、」
「ここ?」
「や、だぁ……は、あっ、いっ、」
「剣城くんの了解無しにイっちゃうの?ほら、お願いして。」
「ん……、」

雨宮に言われるまま天馬はこちらを向いた。
紅い頬も、唇も、痕も、全部雨宮が相手だということに酷く嫉妬して、けれど、同じかそれ以上に興奮もして。
右手のスピードはどんたん増していった。



12/02/09


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