鬼叺 novel | ナノ
墜落論

!京天←雨
 雨天のセックスを京が見てるだけ。





普段なら寝ている時間、俺の部屋はまだ明るい。
都合よく今日は、親が帰ってこない日だ。

ベッドには裸の天馬と、雨宮太陽。
それがよく見える位置に、椅子に座る俺。

「ねぇ天馬。覚悟はできた?」
「太陽、……ほ、本当にするの?」
「するよ。だって、剣城くんに頼まれたんだもん。」

ね、と目を向ける雨宮に、一呼吸置いてから頷く。
ちらりと目が合った天馬は、今にも泣き出しそうで、ガタガタと震える身体が愛しかった。
思わず生唾を飲み込む。

「雨宮。」
「はーい。じゃあ、いただきまーす。」
「、剣城ぃ……、」
「もう、ダメだよ天馬。今から僕に抱かれるんだから、僕だけ見てよ。」

ああ、こいつは本当に天馬が好きなんだな。
嫌に優しい視線にざわざわと胸の鼓動が速くなる。
きっと、天馬は俺じゃなくて、雨宮と付き合った方が幸せになれるんだろう。

でも、俺は天馬の幸せなんか知らないし、絶対に渡すつもりも離すつもりもない。
俺なんかに捕まって、運が悪いなと他人事のように、笑った。



12/02/05

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「見えない臓器の名前は」
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