鬼叺 novel | ナノ
不器用

「不器用過ぎるよ。」

俺の下で乱れる松風が言った。
ムカついたから、割と力を入れて首を絞めてやった。

苦しむ松風の声や顔が、俺の加虐心を更に煽ったが、これ以上は死んでしまうのでやめておく。
でも、いつか松風を殺すのは俺だ。

「っ、は、ぁ、っはぁ、」

息を吸ってるのか吐いてるのか分からない音を出して、必死に空気を吸い込む姿はなんと妖艶なことか。
手伝うように腰の動きを速めると、更に松風はいい表情になった。
滲む瞳は焦点が合わなくて、虚ろに遠くを見てる。

「こっち、見ろよ。それとも、俺を見ない目なんて潰そうか?」
「、!」
「俺だけ見てればいいんだよ。」

俺を包む締め付けが強くなって、果てそうになる。
別に、セックスが好きな訳ではなくて、一番手っ取り早く松風を虐めることができるからやっているだけ。
だから、まだまだ果てる訳にはいかない。

「、剣城ぃ、ね、ぇ……!」
「……。」
「きっ、キスっ、してよぉ!」
「嫌だ。」
「…………なんで、」
「俺はお前が大嫌いだから。」

ぽろぽろ、ぼたぼた。
空色から溢れた涙はまるで大雨。
シーツに水溜まりを作っていく。

「お前を見てると冷静でいられなくなる。きっとお前の事が嫌いだからだ。」
「、ばか、ばか剣城っ!どうしてそんなに、不器用なんだよっ、!」

煩いので、また首を絞めてやった。



12/01/30


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