第三話
〜前回のあらすじ〜
『新たな武器を手についに△○村のボスを倒した勇者ヒカル。彼は魔王を倒し美しい姫君を救うため次の村へと旅立ったのだった…』
というゲームをしている光おばあさんに振り回されっぱなしの謙也オオカミ。
そして金ちゃんは千歳オオカミを抱えて、目にも止まらない速さでおばあさん家に向かっています。
謙也オオカミは無事、光おばあさんを食べることが出来るんでしょうか?
その後の話です。
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ピコピコ
「あのー…光くん?」
「なんすか?」
「ええかげんゲームから手を離してほしいんやけどなー…なんて…」
「今ええところなんすから、邪魔せんといてください」
「そうは言っても、これ赤ずきんやから、俺が光を食わんと進まんのんねん」
「あーハイハイ。これ終わったら相手してあげますから、黙っといてください」
「そうやな、もう少しぐらいなら待っとってもええかなぁ……」
≪チュドーン!ガキーン!≫
ピコピコ
「・・・。」
「……って
それでええわけあるかーー!!!」
≪チャラチャラチャラー♪≫
「あーあ、謙也さんが大声出すから死んでしもうたやないですか。」
自由な光おばあさんについにキレた謙也オオカミ。
その声にびっくりしてゲームオーバーになってしまった光おばあさんは大変ご立腹です。
しかしそれ以上に謙也オオカミは怒りに震えています。
「これ赤ずきんやってゆうとるやろ!!おばあさんはさっさと食われとけやー!!!」
「あ゛ぁ?人のゲーム台無しにしといて何ゆうてますの?」
ゴゴゴゴゴゴ
「あっ…いや…それは…すんませんでしたJ」
年下である光おばあさんに負ける謙也オオカミはやはりヘタレなのでしょう
このままでは話が更に進まないと怒る光おばあさんの機嫌を直そうと謙也オオカミは必死に頑張りました。
そしてぜんざい1週間分でようやく光おばあさんは大人しくなりました
「ハァ…これでやっと進められるわー、じゃあ光、そろそろ金ちゃんがくるはずやからそこの物陰にでも隠れとき」
「そこは食べへんのかい!」
「アホッ!お前みたいな奴ノド通るわけないやろ!!」
この話は妙に現実的な赤ずきんみたいです。
「ええか?金ちゃんがおる間は声出したらあかんで」
光おばあさんはぜんざいを貰ったので素直に指示を聞きます。
謙也オオカミは早速ベッドに潜り込み、金ちゃんが来るのを待ってました。
すると遠くの方からドドドドと地面を揺らすほどの地鳴りが聞こえてきました。
「なっなんや!?」
ドドド
ドドドドドドドドドドガーン!
「ギャーー!!?」
地鳴りがおばあさんの家に近づいてきていると思うとそのまま何かがドアに突っ込んできました。
ドアは綺麗に孤を描き、謙也オオカミの横にストライク☆
謙也オオカミは真横に突き刺さったドアを見て血の気がサァーと引きます。
「無事か!ばあちゃん!!」
煙がたつ中立っていたのは千歳オオカミを抱えた金ちゃんでした。
突き刺さるドアにしばらく動けなかった謙也オオカミでしたが、金ちゃんの姿を見ると急いでベッドに潜り込みます。
「千歳、あれがワイのばあちゃんか?」
「そうたい。ほら、行ってき」
「ばあちゃん!」
「おぉ、金ちゃんかい」
さぁ、やっと感動の(オオカミだけど…)再会です!
「…なんや、謙也やないかい」
「「!!」」
・・・というわけにはいかず、金ちゃんはあっさりと正体を見破ってしまいました。
「いかんよ金ちゃん、謙也は今オオカミばい。耳とか出ててバレバレだけど言ったらいけん」
「ワイどうすればええのー?」
「これを読むだけでよかと」
千歳オオカミはそう言って金ちゃんに台本を渡しました。
もう滅茶苦茶ですね、あははは
「えーと…ばあちゃんの耳はどうしてそんない大きいんや?」
「そっそれはお前の声をよく聞くためさ」
「ばあちゃんの目はどうしてそんなに鋭いんや?」
「…それはお前の姿をよく見るためさ」
「ばあちゃんの口はどうして…」
「
もうええわ!!」
折角金ちゃんが一生懸命台本を読んでいるというのに、謙也オオカミはベッドから飛び起きてしまいました。
その顔はリンゴのように真っ赤です。
「けんやぁ…ワイ頑張っとったのに〜…」
「そうばい!金ちゃんは頑張っとったとよ!!」
「うっさい!バレバレなのにおばあさんの演技するとかめっちゃ恥ずいねん!!」
そう言って謙也オオカミは布団の中に閉じこもってしまいました。
あーあ、拗ねちゃった…。
つづく
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