第二話

〜前回までのお話〜

おばあさんのおうちにお見舞いに行くことになった赤ずきんこと金ちゃん。
その道中ヘタレオオカミ、ケンヤくんに出会ってしまいました。

そしてケンヤオオカミに唆され金ちゃんは寄り道をしてしまいます。

その間にケンヤオオカミはおばあさんを狙っておうちに…!!
おばあさんが危ない!!


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「ふ〜、お腹一杯や!!」

金ちゃんはおいしそうなリンゴにすっかり心を奪われ、おばあさんに持って行くはずのリンゴを全部食べてしまいました。
まぁ、パンとブドウ酒があるので大丈夫でしょう。

「そろそろ行かな、白石オカンに怒られてまうわ…」

毒手の封印を解きながら迫ってくる姿が想像できます。
金ちゃんは身震いをして、急いでおばあさんのおうちに行くことにしました。

すると、どこからか自分のことを呼ぶ声がします。

「金ちゃん、金ちゃん、こっちたい」

「あー千歳やー!!」

声の主は千歳オオカミでした。
金ちゃんは大好きな千歳オオカミを見つけて嬉しそうに駆け寄ります。
その一方、千歳オオカミはさっきまで寝ていたのか、少し眠たそうです。

「今は、千歳オオカミばい。金ちゃんはこげな所でなにしとると?」

「ワイはばあちゃん家に行く途中やねん。千歳は何してんのー?」

「俺はケンヤオオカミと悪戯を…っておらんたい」

「ケンヤならさっきおうたでー、話しとったらいつのまにかどっか行ってしもうたわ」

「まっまさか!!ケンヤオオカミはばあさんを食べるつもりじゃなかと…?!!」

「なんやてー!!!!」

なかなか勘の鋭い千歳オオカミです。
金ちゃんは千歳オオカミの言葉を聞いて真っ青になります。

「とにかくばあさん家に行くばい!!」

「よっしゃー、飛ばすでーーー!!」

金ちゃんは自分の倍近くある千歳オオカミを軽々と持ち上げ、おばあさんのおうちに向かいました。





そのころケンヤオオカミは……




「ハァ、ハァ…ここがばあさんちやな?」

金ちゃんの足止めに成功したケンヤオオカミは急いでおばあさんのおうちに行きました。
おばあさんのおうちは山の奥にポツンと建っており。人っ子一人見当たりません。

「これなら、ばあさんが泣き叫んでも誰も助けなんか入らんな」

すっかり悪者になったケンヤオオカミはヒヒヒと意地悪い笑いをします。

≪トントントン≫

「ごめんくださーい!!」

≪ガチャ≫

「なんや、ケンヤくんやないですか」

「光?!おまっ、ここで何してんねん!!」

ケンヤオオカミの呼びかけで出てきたのは、シワシワでヨボヨボなおばあさんではなく、ピアスを沢山しているちょいワルな光くんでした。

「俺、おばあさん役なんすわ」

「役とか言ったらあかんやろ!!」

「部長に言われてここにおるんすけど、ひまっすわー」

そんな光くんの後ろには、沢山のゲームや漫画が山積みです。
どうやら暇と言いながらも、のびのびとやっていたみたいですね。

「お前…おばあさんなんやからもっとそれらしくしとけや…」

ケンヤオオカミは光おばあさんのだらけっぷりに呆れています。
光おばあさんはケンヤオオカミの話を軽く聞き流すと、めんどくさそうに中に入っていきますので、ケンヤオオカミもそれに続きました。

「ケンヤくんは何しに来たんすか?」

ベッドに寝転がり、またもゲームを始めた光おばあさんを見て、ケンヤオオカミはやっと本来の目的を思い出し、悪い顔に戻りました。


「それはなぁ…お前を食べにきたんやーーー!!!!」



「へー…」

≪ピコピコ≫

「「………。」」



「反応うすっ!!そこは『きゃー!』とか『食べられるー!!』とか言うところやろ!!」

「…きゃー!…食べられるー!!(棒読み)おっ、ボスやっと倒せたわー」

「泣いちゃアカン…泣いたら負けや…」

自分に言い聞かせるケンヤオオカミでしたが、その目にはすでに涙が溜まっていました。
光おばあさんはそんなケンヤオオカミにも興味を示さず、新たな冒険に向かいます。

「とっとにかく!光には悪いけど、食わさせてもらうで!!」

「ケンヤくん…そんな趣味が…」

「その食うやないわ!ってか何でお前もそれ言うねん!そんなに俺をホモにしたいんか!!」

「別にケンヤくんにどんな趣味があろうと興味ないっすわ」

「そこは少しぐらい関心もてやー!!いや、ホモじゃないけどね!!」

「新しい武器どれにしよー」

「聞けやーーーーーーー!!!!!!」



ケンヤオオカミはいつになったら、光おばあさんを食べられるんでしょうか?



つづく!



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