第一話


昔々あるところに金ちゃんというそれはそれは可愛らしい男の子がいました。

金ちゃんはいつも赤い頭巾を被って…いないんですが物語り上赤ずきんと呼ばれていました。

今日はそんな赤ずきんのお話です。

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「わかったか?赤ずきん。このブドウ酒と果物を持って、森の奥にいるおばあさんに届けるんやで」

「白石ーワイの名前は遠山金太郎や。赤ずきんやないで?」

「白石やないオカンや!ええか?金ちゃん。今日は赤ずきんの世界におるんや。だから今日の金ちゃんはいつもの金ちゃんやなくて、赤ずきんの金ちゃんなんや」

「金ちゃん、金ちゃん言うから頭がこんがらがってきたわ…。」

「とにかく!これをおばあさんのところに届けてき!!」

「よう分からんけど…まかせとき、白石!…やないオカン!行ってくるでー!!」

「寄り道せんと行くんやでー!!…って聞いとんやろかJ」

白石オカンの忠告を聞き流し、赤ずきんもとい金ちゃんは元気に森へと向っていきました。

「あっ、オオカミのこと忘れとったわ…。」


金ちゃんは無事におばあさんのもとへ行けるのでしょうか…












白石オカンのせいでオオカミがいることを知らない金ちゃんはそんなことは露知らず、全速力で森を駆け抜けていました。

「ばあちゃんのところまで一気に行くでーーー!!!」

本来物語に出てくる綺麗なお花も華麗にスルーして金ちゃんは目にも止まらぬ速さでどんどん森の奥に入って行きます。



一方、金ちゃんから少し離れたところにオオカミが2匹いました。

「準備はええか、千歳!今日こそ悪いことするで!!」

「無理せんほうがよかよ、謙也。この前もそう言ってリスに返り打ちされてたばい。」

「っ///それは言わんといてや!あん時は相手が悪かったんや!!」

ヘタレオオカミ謙也くんは気合いを入れるように自分の頬を叩きました。

「よしっ!次ここを通った奴を驚かしてやるでー!!」

「止めといたほうがよかと思うばい…」

しばらくオオカミたちが待っていると向こうの方から足音が聞こえてきました。

「千歳!誰か来るみたいや」

「。。。Zz」

「寝んなやー!!もうええ!こうなったら俺だけでも!!」

ドドドドドドドドドドド

「(来たみたいやな)」

足音に合わせて謙也オオカミは木の影から飛び出しました。

「がおーオオカミやでー[ドスッ!]グヘッ!」

「なんや?なんか蹴った気がしたわー」

「俺や俺!」

渾身の雄叫びで出た謙也オオカミは勢いよく来た金ちゃんに哀れにも蹴飛ばされてしまいました。




「あれー?謙也やー。こんなところで何しとるん?」

「今日の俺はオオカミや!今から金ちゃんのこと食おうとしとんねん」

「食うってそんな…ワイ男とヤる趣味ないわ」

「意味ちゃう!?ちゅーか、どこでそんな事覚えてきたんや!!」

「小春がな、テニプリのBL本貸してくれたねん」

「小春ーー?!!」

「本でもそうやったけど、謙也やっぱりそういう趣味あるんやな…」

「引くなや!!ってかそんな趣味無いっちゅー話や!!!」

どうやら謙也オオカミには危ない趣味があるみたいです。
危ない!逃げて、金ちゃん!!」

「だからちゃうって!!!」

「謙也ー誰に話しとるん?」

「なんかとんでもないことが聞こえた気がしたんや…。それで?金ちゃんはどこ行くん?」

謙也オオカミはヘタレでも気を配れるらしく、話を戻してくれました。

「ワイなーばあちゃんの所にお見舞いに行くねん。」

「!!ほーか、ほーか、金ちゃんは偉いなぁ。(先回りしてばあさん食べてしまお♪)」

頭を撫でながら謙也オオカミはなかなか悪い顔をしています。
金ちゃんはそれに全く気付かず、偉いと言われ嬉しそうです。

「そや!!なぁ金ちゃん。おばあさんのお見舞いにあそこの花でも摘んであげたらどうや?」

「ワイ、花には興味無い(フルフル」

「グッ!…じゃ、じゃあリンゴとかどうや?」

「リンゴ!?ワイ、リンゴめっちゃ好きや!取ってくる!!」

おばあさん家に行く時間を稼ぐために謙也オオカミは金ちゃんの足止めに成功しました。

「(今の内に行くでぇ♪)」

こうして謙也オオカミはおばあさん家に向かいました。







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