10-2

「いち、に、いち、に」


軽やかなリズムでランニングする。

今日は中学生の指導を朝からするので、私たち高校生は自主練になりました。
鬼先輩たちは既に自分のメニューをこなす為に、早々に行ってしまい、特に何も無い私はとりあえずということでランニングの最中です。


「はぁ、はぁ、ふー……だいぶ走ったなー」


「あのーすみません」


「ギャーー――――!!!」


「「「わーーーー!!!!」」」


息を整えている時に、急に肩を叩かれたので思わず女子にあるまじき声を出してしまいました。
入江先輩に聞かれたら馬鹿にされるところでしたよ。危ない、危ない

それよりも3つほど声が聞こえたような…

振り向いてみると全員違う制服を着た男の子が3人いた。
見た目的にも中学生らしく、私の奇声のせいで固まってしまっている。


「びっくりしたでヤンス↓」


「驚いたです!」


「へっ、へへ…お前ただらしねぇなー…テニス歴2年の堀尾様はこんなことじゃ驚かねぇぜ!」


「堀尾くんも驚いてたですよ!」


「………どちら様?」




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「じゃあ3人は、それぞれ用があって侵入したんですね?」


「はいです!」


あの後コートに行きたいと言った3人を引き連れて、私は案内しながら事情を聞いていた。


「あの〜…世羅"先輩"、このことは…」


「大丈夫です!ちゃんと黙っておきますから!!」


「優しい"先輩"で良かったでヤンス↑」


みんなで仲良く歩きながら、私は頬が緩むのが止まりませんでした。
だってみんな先輩をつけて呼んでくれるんです!
今まで年下だろうと馬鹿にされ続けた私にとっては憧れて止まなかった呼び名なので、頬も緩んじゃいますよ〜♪


「ここがコートですよ」


案内したコートでは中学生が試合形式で練習しているようだった。
コートの広さと選手たちのプレーに3人とも感動していたので、しばらく一緒に見ることにする。
すると壇くんが何か紙を見つけたみたいで、それを見て顔色が変わった。


「ダダダダーン、大変ですっ!!ペア同士でタイブレークを行い…負けた方は脱落って!?」


「えっ…。」


「マ、マジかよ…;;」


斎藤さんが言っていた、トレーニングとはこのことなんでしょうか。
確かに楽しいことではない、むしろ信頼している相手だと余計辛い。
来たばかりの選手にする方法じゃない。


「世羅先輩?」


急に黙った私を心配してくれているのか、壇くんたちが私を見ていた。
心配してくれて嬉しいですけど今はそんな3人のことを考えている余裕はない。


「さっ、さっ…」


「「「さ?」」」


「斎藤さんのばかーーーーーーー!!!!!」


「「「世羅先輩!?」」」


呆然としている3人を置いて、私は走り出した。
頭がこの怒りに耐えられそうにない。


「斎藤さんの馬鹿野郎!もうお茶に誘いませんからねぇぇぇぇぇ!!!」


走りながら奇声を発している私はさぞ滑稽でしょう。
それでも、中学生の子たちを心配している私の行動は間違っているんでしょうか?


「あのノッポがぁぁぁぁーーーーー!!!」


取り合えず、こんなに大きい声を出したのは久しぶりでした。




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