5-2
「ほら、睦月も自己紹介しなよ。」
入江先輩は相変わらず楽しそうな顔だ。
この状況を楽しんでますね…。
私はというとさっきから鬼先輩の後ろに隠れている。
だって人見知りだし、視線が痛いんだもん!!
………キャラ崩壊しかけるぐらい追い詰められてるってことですよ…。
「世羅、挨拶は人としての礼儀だぞ。」
鬼先輩は私を抱えると自分の前に下ろした。
鬼先輩の裏切り者…!!!
「フフフ、もう諦めなよ。」
「うっ!う〜。……6番コートの世羅睦月です。よろしくしたくないですけど、よろしくお願いします。(ペコッ」
「女だ…。」
どっかから声が聞こえた。
皆がザワザワと騒ぎ出す。
この合宿男ばかりですもんね。
「ねーちゃん!ワイ、遠山金太郎や!よろしゅう!!」
可愛い男の子が私に自己紹介してくれた。
「よっよろしくお願いします…。」
差し出された手をたどたどしく握る。
仕方ないですよ、緊張してしまうんです…。
「失礼だが、世羅さんは何故この合宿に?」
逆光メガネの人が話かけてきた。
確か青学の乾くんでしたっけ?
「その…私にもよくわからないんです。黒部コーチに言われるままきましたから…。」
「さぁ、もう練習に戻りましょう。」
まだ何か言おうとした乾くんを遮り、入江先輩はコートへと移動し始めた。
そろそろ練習しないと怒られますからね。
50名の中学生メンバー。
このまま全員残れるとは思いませんね。
「(一波乱も二波乱もありそうです。)」
なんてことを鬼先輩に抱えられながら思った。
[ 11/21 ][*←] [→#]
[戻る]
[しおり]