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「さてと、頑張って練習しましょうか」

守り切ったボールを弄りながらコートに戻ると、こちらも試合がだいぶかたがついたらしい。

「見苦しいぜ!!もうボールを取れなかった奴等は帰んな!これ以上醜態を曝すなよ!!」

鬼先輩のそれこそ鬼のような喝が響いた。

佐々部君たちは慌てて荷物をまとめると、悔しそうにコートを去っていく。

予想通り、試合はボロ負けだったようですね。

「ゴメンね。勝手な試合は本来ここでは厳禁なんだ。」

入江先輩が優しく諭している…ように見えてあれはだいぶ怒ってる?
背後に黒い空気が見え隠れしていた。

入江先輩は規律に厳しいですからねぇ…

徳川君もいるのが見えた。
相変わらず鋭い目付きでワカメのような髪をした子を睨んでいる。

どうやら中学生の所に行ったのは彼等だけみたいだ。

私はというと、先程からコートの観覧席に隠れている。

私人見知りですから。
あんな大勢の前には行けません。
早く練習が始まりませんかね
このままでは入江先輩に見つかって………

「あれ?そういえば睦月はどこ行ったのかな?」

入江先輩がこっちを見てワザとらしく言ったのが分かった。
出てこいよと言わんばかりにバックに黒いオーラも見える。

「(これ以上にないぐらいピンチですね;;)」

入江先輩の思惑は分かっている。
大勢の人の前で困って慌てふためく私を見たいだけなんだ。
あの人真性のドSだから…

こうなった以上は逃げるしかありません!!
私はこのまま帰ろうと、こそこそと陰に隠れて歩こうとした。

「フン、強情だね。鬼、ちょっと呼んでみてよ。」

「分かった…世羅!どこだ!早く来ないか!!」

「はい!鬼先輩!!ここにいます!!!…ハッ!!」

……やってしまいました。
思わず挙手をして立ち上がってしまった・
入江先輩がそれはもう黒い笑顔で笑っているのが分かります。
出たからには仕方がないので大人しく行くことにした。

「鬼先輩使うなんてズルイですよ、入江先輩…。」

「フフフ、早く出てこないのがいけないんだよ。」

鬼先輩は私の師匠ですから逆らいたくないんです。
それよりもこんなに目立つ状態で出てしまって、頭がクラクラしてきました。
あぁ、入江先輩、いい笑顔で私を見てますね…チクショー(泣)



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