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≪キーンコーン、カーンコーン≫
「皐月ちゃん、一緒にお昼食べよぉ。」
転入してきて初めてのお昼、ウチの所に西園寺が来た。
「ええよ。何所で食べる?」
「えーとねぇ・・・。」と言いながら、ウチに腕を絡める西園寺。
今までずっと見てきたけど、今の所不審な点は無かった。
寧ろ誰からも好かれてるいい子だった。
「(こいつじゃないのか?)」
考えていると隣にいる西園寺が「あっ!」と声を出した。
「屋上に行こぉ♪まだ行ってないでしょ?」
西園寺に手を引っ張られ、屋上に連れてこられた。
≪ガチャ≫
「あっツナ君達だ〜♪」
屋上の扉を開けた西園寺の声に、身を乗り出し見てみると、隣の席の沢田とあと二人、銀髪の目つき悪い奴と黒髪の爽やかそうな奴がいた。
「ツナ君達もここで食べるのぉ?あたし達も一緒にいい?」
「うん、いいよ。いいよね?二人とも。」
「あぁ、俺はいいぜ!」
「仕方ねぇな…。」
「ありがとー♪」
三人の了承を得て、西園寺は沢田の隣に座り、ウチはその西園寺の隣に座った。
さぁ弁当だ。と思うと黒髪がウチの肩を叩いてきた。
「俺の名前知らねぇよな?俺、山本武。よろしくな!!(ニカッ)」
見た目通り爽やかな笑顔で自分の名前を言った山本は、今度は銀髪に声を掛けた。
「ほら、獄寺も名前言えって。」
「…獄寺隼人。10代目に何かしたら、俺が許さねぇ(ギロ)」
名前と共に睨まれたウチは思わず、
「目付きワル…(ボソッ)」
「あぁ゛!?やんのかコラ!!」
…しまった。
ウチがボソッっと言ったのが聞こえたらしく、獄寺は私の胸倉を掴んできた。
「気を悪くしたなら、誤る。じゃけど、ウチは事実を言っただけじゃ。」
「てめぇ!!」
「やっやめなよ、獄寺君!」
ウチの言葉に更に怒ってしまった獄寺は殴りかかろうとしたが、すかさず沢田が止めてくれ「10代目がそう仰るなら…。」と獄寺は座りなおした。
「ごめんね、黒羽さん。」
「別にええよ。少し驚いただけじゃけぇ。」
乱れた襟を直し、ウチも座る。
前からはまだ獄寺に睨まれていた。
「皐月ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫。ウチも悪いからな。」
「初対面であんなこと言って悪かったな。」と獄寺に言えば、ウチの方を一睨みした後、「俺も悪かった」と言ってくれた。
案外良い奴なのかもしれない。
ピリピリとした空気が和らいだのを感じたのか、沢田達はどこかほっとした表情を見せて、ウチ達は昼食を食べ始めた。
「黒羽って田舎育ち?方言っぽいの偶に使うのな。」
黙々と食べていると、山本が不意に聞いてきた。
皆も興味があるのか、ウチの方を向いた。
「いや、違う。これは口調が移っただけ。」
「誰の?」
「【イナカマン】って知ってる?昔のヒーローアニメ。そのヒーローに憧れてずっと見てたら口調が移った。」
ウチが平然な顔をして言うと、ウチの発言が意外だったのか、山本を除いた三人は呆気にとらわれていた。
でも次の瞬間皆が笑っていた。
「ハハッ、黒羽って面白いのな。」
「そうか?」
「黒羽さんってもっと関わり難い性格だと思ってたけど、そんなこと無いね。」
沢田が笑いながら言うと、西園寺も頷いている。
「ウチの目は挑発的に見えるらしい、そんなことはないんじゃけどな。」
「ねぇ、この際だから皐月ちゃんのこともっと教えてぇ」
「ええけど、何を言えばいい?」
「えっとねー≪ガチャ≫ん?」
ウチ達が話していると、屋上のドアが開き、二人の女子が入ってきた。
「きょっ京子ちゃん!!」
「あっ、ツナ君!」
入ってきたのは同じクラスの笹川京子と黒川花だった。
沢田は笹川を見るなり急に忙しなく視線を動かし始めて、そわそわと落ち着かなくなっている。
その態度を見るだけで、沢田が笹川をどう思っているか一目瞭然だった。
「京子ちゃんたちも屋上でご飯?」
「うん、今日天気がいいからね」
「そっかーあのさ、良かったら一緒に…「京子ちゃん!花ちゃん!」
「もっ百花ちゃ…ん…」
沢田の言葉を遮って西園寺は2人に駆け寄る。
それに笹川は明らかに顔を青ざめ、黒川は西園寺を睨んでいた。
「えっ!2人とも今から用事があるのぉ?え〜一緒にお弁当食べようと思ったのになぁ」
「ちがっ!わっ私…」
「呼ばれてるんだったら早く行かないと!ねぇ……京子ちゃん?」
「あっあの…(カタカタ」
「ッ…京子!もう行こう!!」
「ばいばーい♪」
遠目だから分かり難かったけど、三人の間にはただよらない空気が流れていた。
沢田たちは気付いていないのか出ていった笹川たちを見て残念そうな顔をしている。
「(なるほどね…)」
紙パックのジュースを飲みながら笑顔で戻って来る西園寺を見る。
なんとなくは分かった。
あとは西園寺が何を仕掛けるのか見るだけ
「?なんか皐月ちゃん楽しそうだね」
「ん?まぁな」
楽しみだよ―――――――
あんたがこれから何をしようとしてるのかね
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