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▼ ふたりきりA(電波)



ふたりきりの続き

日はいつからか沈んでいない。どこかの寒い国ではそんなこともあるらしいが、ここは四季がある温暖な国、××である。
それに俺は不気味さを感じるどころか少し納得さえしていた。

誰も使わなくなった電話ボックスにぼんやり腰掛け、紫煙を青空にくゆらせる。灰皿はすでにいっぱいだが、その上にさらに山を築く。
「もしもし、トラー。」
「コウ。」
下から呼ぶ声がしたので見ると、コウがいた。当然、声だなんて機械音声以外コウ以外聞きようがない。
「なに?それ?」
コウはアルバムのようなものを脇に抱えている。
「ああそうそう、これ面白いから、早く下りてこいよ。」
コウは写真や書物を集めては俺に見せてくれる。そして人間の絶滅(俺とコウしかいない為、事実上。アダムとアダムで何を。)の原因を解説してみせる。それは、やれ隕石だの、やれ氷河期だの、俺らが生きてセックスして物資が現存してる今から見て、かなり荒唐無稽な話だった。
電話ボックスに乗る為かけた梯子を下りながら、また始まったと溜め息が出る。
「今度はなんだよ?宇宙人?」
「いや、今回は違うんだ。これな…」
始まった与太話はまた信憑性のないものだった。俺はそれを軽く聞きながら、コウの髪を撫でていた。空はいつまでも青いまま、信号はいつまでもグレーのままだった。

「………」
気づけばどこかの遊園地にいた。コウもいる。…最近記憶の欠落が多い。
「トラ?」
コウが心配そうに顔を覗き込んでくる、繋いだ手に軽く力をこめてくる。それに笑ってこたえる。
どういう脈絡で遊園地に来たか思い出せない。××にある遊園地なのは分かるのだが、動きを止めた遊具達は淋しげで、俺はどこかでデジャヴを覚えた。
「トラ、」
「え?おわっ!なっ!?」
ぼんやりとしていた俺をコウは抱きかかえて、動きのないメリーゴーランドに乗せた。立ったままへらへらと笑うコウに年甲斐もないと笑い返す。ここにあるのはメリーゴーランドと観覧車と、あとは何もない。俺達以外誰もいない。
「ちゅっ、トラ、お姫様だ。」
「はいはい王子様。」
俺もたいがいだ。また手を繋いで根城に戻った。


俺らはお互い裸で抱き合っている感触が気持ちよくて好きだったから、すぐに全裸になって抱き合う。部屋についてベッドに座り、どちらからともなく抱きあってキスをして、全部服を脱がしあう。
「ビンビーン。」
「ガッチガーチ。」
軽口を叩き合っても、この時点でもう2人してビンビンに勃起してる。
「すけべぇ、ふははっ、ちゅ」
「すけべ言うな。えっちと言えー。ちゅっ」
お互いの背中に手を回して抱き合って、体を密着させて、お互いの背中を触りあいながら、舌を激しく絡ませてディープキスする。
すぐに涎で口のまわりがベトベトになる。こういうゆっくりしたの大好き、息を荒げてずっとキスしていた。

キスするだけで抱き合うだけで触り合うだけで幸せなのに、次に移らなきゃならない。セックスしなきゃならない。コウが望んだ訳でも俺が望んだ訳でもないが、それは当然のことだった。
「何でなんだろうか?」
「疑問に思うとこか?それ。
それより集中して下さーい。」
「うっ、んっ!」
コウのちんこが中に押し入ってきた。びちびちに広がって、内臓の底が熱いみたいだ。
そういえば、
「鳥、減った、っあ!ふぅ…な?」

俺はもともと色々疑問に思う質だった。この状況も疑問に思うとこは多数ある。が、まるで夢の中にいるように。


おわり






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