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▼ ふたりきり(意味不明)



世界には、俺と彼だけになった。ちなみに比喩ではない。

「……ん…」
鳥の声で目がさめた。起き上がって、辺りをぐるりと見回す。あ、そういえば。
根城にしている家は××にある、古いアパートだ。最初は高層マンションに住んでもいたが、二人しかいないなら無駄なだけと結論にいたった。
「コウ、起きろ。ほら、ちゅ」
「ん………、あ、おはよ…」
「おはよう。ちゅ」
隣に寝ていたコウを起こし、朝のキスをする。しばらくベタベタとお互いにキスし合った。裸で体を寄せ合って、暑苦しく熱を分け合う。
「ちゅっ、そろそろ起きようぜ、」
「なんで…?」
「煙草切れた。取りに行きたい、」
「あー…、わかった、」
それを聞いて低血圧なコウはやっと起き上がった。
適当に服を着てサンダルをつっかける。手を繋いで外に出た。

当然ながら外は誰もいない。車も走っていない。過去には凄まじい交通量があった道も、今は車道のど真ん中を歩ける。
「トラ、どっちのコンビニいくの?」
「ああ、ここらのコンビニはあらかた煙草取ったからなぁ。あっちの交差点の先行くわ。」
繋いだ手を年甲斐もなく振り回しながら道を行く。耳が痛いほど静かだ。たまに、鳥の声とコウの呼吸が聞こえるだけだ。



「なー」
「お?」
「煙草なんてどれも同じじゃないのか?どれでもいいじゃん。」
コンビニで俺が好きな銘柄を探していたら、飽きたようにコウが問いかけてくる。
同じじゃない。けど、こうなってから、コンビニで取り扱ってないのは面倒で諦めたから、同じ、か?
「はー…、コウも吸う?」
「いい。ちょっと俺外見てくるわ。わかったから。」
誰もいない店内で煙草に火を点ける。なんの気なしにレジを開けると紙幣が何枚もあった。それに火を点けると、パチパチと燃えた。綺麗だった。



帰り道、過去で言う繁華街の交差点でコウが立ち止まった。
「トラ、」
「ん?」
「セックスしよう。このど真ん中で。」
話が突然飛んだ。どういう脈絡だったか思い出せない。
誰もいない繁華街のど真ん中、交差点のど真ん中で、コウに抱きしめられ、キスされた。なにもこんな場所でせんでも…と思わなくもないが、コウがしたいなら仕方ない。
「いいよ。」

コウが服を脱ぐと、筋肉質な体が露わになった。コウは足を開いて座り、俺は四つんばいの格好で舐め始めた。
「んっ、ん…ん!」
「はぁ、はぁ、」
音を立ててしゃぶると、コウは俺の乳首に触れた。それから俺の後頭部を押さえながら腰を振ってくる。俺が息苦しくなって口を離すと、腕が引かれディープキスされた。お互いの唾液を交換した。相手の唾液がいとおしい。
「んんっ、は、はぁ…」
「んく。く、」
キスしながらコウは乳首をいじってきて、それから舐めてきた。こらえ切れずコウにケツを向けると服を剥かれ、パンツのわきから穴を舐められた。手をついたコンクリートの地面は冷えている。
「あっく、はぁ、はぁっ、んうぅっ!」
コウは両手で穴を広げ舌を入れて、しばらくすると指を入れ、前後や、広げるように動かしてきた。敏感な粘膜を触られ、俺はもう我慢ができなくなって、
「早く、早く、もっ、はぁ…っ、コウ」
「ん、っ、うん」
コウが俺にのしかかり、入れてくれると思った俺は体の力を抜き、深呼吸をして待っていた。それでも期待に体が火照る。
「はぁっ、ああっ、っく!」
するとコウはゆっくりと入れてきた、がそう思ったら少し入れただけで途中で抜いた。粘膜がこすれ、入り口付近のきもちいいとこを擦りそうでいて、届かない。
「えっ、えぁっ!?」
そしたらまた入れてくる。するとまた途中で抜く。だから…おい!
「な、なんで…っ、焦らすなっ、馬鹿!」
「いや、なんかトラの待ってるのがエロくて、ごめんごめん」
馬鹿なことをいいつつ、コウは俺の穴にちんこをあて、俺の腰を引き寄せた。一気に奥まで突っ込んでくる。やっ、と
「もっ、あっ、あっ、あんっ!」
「はぁ、はぁ、トラ、ああ、」
それからリズムを変えたり、ちんこをギリギリまで抜いて奥まで突っ込んだり。交差点のど真ん中、道路の上でセックスした。シュール。



「あっ!ああ、あー…」
「はぁ、はぁ、はぁ…あ、」
コウは俺の横に倒れて、はぁはぁ肩で呼吸しながら余韻に浸っていた。
「トラ、すきだ」
「俺もだ」







「ここの外ってどこだろ。人がいるらしいけど。」
「天国じゃない?」


おわり







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