note


▼ ストレスB(小スカ)



※ストレス1 2

弟も大分俺に慣れた。俺が帰ってくる、自分を待っててくれる、と認識してから、弟も割と外に出るようになった。
「おかえりー!」
「はい、ただいまー!あーいい子してたね、よしよーし!」
「うー、兄ちゃんきめー!へへへ、やだぁー!」
お出迎えのムツゴ〇ウさんごっこもいつも通り。弟の顎を撫でて、犬みたいにかいぐりまわす。俺に軽口を叩けるくらいになって嬉しい限りだ。まぁ、
「………」
言った後に、はしゃぎすぎた、怒ってないかな、と俺をちらちら見なくなってくれれば問題ないんだが。
「キモくて結構!おりゃーっ」
「わひゃはははっ!ちょぉっ、ここ玄関っ、玄関だからっ、やぁっ、もぉー」
くすぐり倒してリビングに向かう。別に俺の帰りが遅くなった訳じゃない、日常風景だ。……平和だ。



「ご飯とお味噌汁、ありがとう。今日はチキン南蛮買ってみた。」
「うん!美味しそう、ご飯!ご飯!」
外に出れるようになった弟は、ご飯を炊いて味噌汁を作って、俺の帰りを待っていてくれるようになった。だから俺が何かおかずになる惣菜なり何なりを買って帰ってきている。
「待った。ご飯の前に、」
「………してない。してないってば、」
ご飯の前に済ませようと、恥ずかしがって嫌がる弟のズボンの中に手を突っ込んだ。…少し重い。
最初は夜だけだったオムツも次第に日中もつけるようになった。俺はこれからのことも考えて、夜だけのがいいと思っていたが、
「ちょっとだもん…ちょっと、………兄ちゃん、替えて。」
弟はおねしょしたりすると、俺が構ってくれると学習してしまったのか、日中にもオムツにおしっこして俺にそれを替えるよう甘えてくるようになった。
「はいはい。」
叱らない俺が悪いのか、これ。甘やかしすぎか?

「………」
弟はソファーに仰向けになって、真っ赤な顔を背ける。恥ずかしいならトイレでしたらいいのに、とか複雑な弟には言えない。弟の気持ちはよく分からない。
オムツを脱がすと、案外最近出したのかまだ温かかった。濡れたそこをウェットティッシュで拭ってやる。尻も内股も、もちろんそこも。
「えっちぃ…」
「えっちとか言わないー。」
確かに俺が淫行してるような、プレイのようなそれを済ませ、新しいオムツを穿かせてやる。
「兄ちゃんのえっち!変態!」
「はいはい変態が襲っちゃうぞ。がおー」
「やーだー!変態変態!変態がいますー!やーだー!こちょこちょやー!」
またじゃれあってから、ご飯を食べた。冷蔵庫には弟が作ったパウンドケーキがあって、レパートリーが増えたなと嬉しく思う。



いつも通り、弟と一緒にベッドに横になる。ベッドの狭さももう慣れた。
「ね、」
「ん?」
「兄ちゃんの、母さんって、どんな人だった?」
驚いた。弟にその単語はタブーだと思っていたが、自ら口にしてきた。
「んー、」
「どんな?」
俺は弟に返答できるだけのものがない。考えても出て来なかった。
「俺の母さんだった。」
「………そっか。」
それでも弟は満足したらしく、俺に足を絡め抱きついてきた。
「哲司の父さんはどんな人だった?」
ここまで来たら、突っ込んでしまおう。覚悟して聞いた質問に、弟は笑って答えた。
「俺の父さんだった!」
………我ながら、なんだそりゃ。そりゃそうだろう。弟は楽しそうに続ける。
「俺のこと、引き取りたかったって。」
「うん。」
「でも、母さんが強く行動に出たから、駄目だったって。」
「うん。」
「だから、せめてお金送ってるんだって。俺が将来困んないように。」
「うん。」
「でも、今は新しく家族が出来たんだって。でも俺のことは、ずっと、ずっと、だいすきだって。」
「………うん。」
いつの間にかホロホロと弟の頬に涙が零れ落ちた。それを指で拭うが、やってもやってもきりがない。
「おれ、」
「うん。」
「いくとこないよ、」
「ある。ここにいたいだけ、いればいい。兄ちゃんといればいい。」

いつもの通りあやして、背中をさすった。俺は、本当はこう言ってもらいたいのかもしれない。『兄ちゃんは、俺といればいいよ!』自分の言葉で不安を誤魔化した。


おわり







← top



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -