「よし!」
私は自分の左手の爪を見て一息ついた。
我ながら綺麗にグラデ−ションもつけられたし、満足いく出来上がり。あとはマニキュアが綺麗に乾いてくれればなにも問題はない。
「………………」
ただ、まだなにも塗られていない右手の爪を見ると気分は萎える。
右手の爪はどうも上手く濡れない…。
はあ。と1つため息をつくと、隣の席の立花宗茂に声をかけられた。
「なにをため息ついているんだ。」
「ん−…、マニキュアがねぇ−」
上手く濡れなくてさ、右手。と言って私がまだなにも色ののっていない爪が宗茂に見えるように右手をひらひらと振る。
「まあ、自分で始めたんだ。責任を持って塗りきるんだな。」
「ね−、手伝ってやろうか?くらい言えないの?」
「言わないな。」
「言ってよ」
そろそろ授業が始まるチャイムが鳴ってしまう。
今からマニキュアを塗りきるのは難しいかな…。仕方がないので右手の爪はまた後で塗ることにしようと思う。
ただ少しだけ宗茂の態度がムカツク。
私は宗茂に有無を言わせねよう勢いよく奴の左手をひっつかむと、宗茂の爪に私と同じ色のマニキュアを塗りつけてやった。
「これじゃあ俺が変態みたいじゃないか。」
「もとからもとから、」
ピンクに光る御揃いの爪