「ごめん。先帰ってて。……送信っと、」
私は1つため息をもらしてから自分の教室に戻った。
「まったく、アンタのせいでとんだとばっちり食ったじゃない」
「それはこっちの台詞だ、」
教室には私と宗茂しかいない。
2人そろって左近先生から反省文を書くように言われたのだ……。
「愛しのダ−リンはどうしたんだ?」
「帰っててもらうからいい、」
この年になってまで反省文を書くとは思っていなかった。左近先生のことだから、それとなく書いておけば笑って許してくれると思う。
だからなのか……、まったく良い言い訳が思い付かない…。
シャ−ペンをコツコツと叩きながら開いている窓に視線をやった。風が少しだけ吹いていて気持ちが良い……。
「やっぱり、宗茂から告白したの?」
「どうだかな」
「なにそれ、」
お互いに自分の席に座ったまま、顔も向けることもない。他人行儀な感じ。
「清正のどこが好きなの」
「全部だな」
「ちゃんと答えなさいよね。」
テキトウな言葉で紙をうめて、私は鞄の中からポ−チを取り出す。
「マニキュアか?やめろ、におう。」
「匂わないところに行けば?」
「お前に言われて出ていくのはしゃくだが……。大人しく出ていくとするか」
「職員室行くなら私のも持ってって」
「………。普通反省文は自分で出すものだ。」
とかなんとか言いながらも宗茂は私の分の反省文を受け取ってくれた。
「ねえ、」
「なんだ?」
「なんで清正のことが好きなの?」
教室を出ようとする宗茂にもう一度問いかけた。
カバンを持っていくってことは、今日はもう教室には戻ってこないんだろう。
「………………お前には関係ないな」
扉に手をかけてフッと笑う宗茂。
幸せそうに笑うな……。
「お前はどうなんだ?」
「全部好き」
「答えになってないぞ」
言い返された。
太陽と月が仕事を交代する時間が近いのか、独特なミカン色が私と宗茂を照らす。
to be continued・・・