「市さん、……大丈夫かな」
「初めての子だからね、なかなかかかるんじゃない?」
病院に備え付けてある長椅子に座り、半兵衛の肩に頭を預けてその時を待った。
「長政の奴、なかなか出てこんの」
「市さんの手を握るとおっしゃってましたからね、」
出産は待ち遠しいが、一睡もしていない見守り組の私たちの眠気はピ−クに達していた。
「みなさんッ!!!」
「長政!!?」
「子が!子が、生まれます!!」
「ホントッ!!?」
「行くぞ!」
「待ってください政宗殿!」
「…まったく」
「さあさあ官兵衛殿!」
「市、皆が来てくれたぞ!」
市さんの側にいる親族の方に軽く頭を下げ、私たちも市さんの側に駆け寄った。
「市さん!赤ちゃんが生まれたらいっぱいプレゼント買ってあげるから頑張って!!」
「なんだそれは、」
「だって……!他になんて言って応援したら…!」
「なまえ、さん、」
「はっはい!」
「手を、握っては……いただけませんか?」
「うん!」
それからしばらくたった時だった……。
病院に元気な赤ちゃんの泣き声が響いた!
mae | tugi