「溟ちゃん!早くして下さいですぅ!」
「ああ、待って待ってキイチちゃん!!」
壱號艇の中で、何やらワタワタと用意をしている溟と、そんな溟を呆れたようにキイチが見ていた。
「喰くんと與儀さんはもう現地に着いてる様ですよ、」
「ホント!?早いなー」
「溟ちゃんが遅いんですぅ!!」
「はいいいッ!!」
キイチに怒られつつ、溟は壱號艇の廊下を走った。
≪いってらっしゃいウサ!≫
「行ってきます!」
「行ってきますぅー」
○●○
≪入り江の町 トージ≫
静かな夜の町にキイチと溟はいた。
「了解です。今から始末します。・・行きますよ、溟ちゃん」
「うん」
キイチに向かって頷き、2人は静かにとある家の中へ入った。
「お願い。」
「任せて下さい。」
今度は溟に向かってキイチが頷き、キイチが使う武器である巨大なカマをとあるモノに向かって振り降ろした。
「大丈夫!?すぐに良くしてあげるからね
月下ノ歌≪マリノルーフェ≫」
キイチがカマを振り降ろした先にあったものは、人を何重にも包み込んだヴァルガだった。
その根の様に人を覆っているヴァルガの組織をキイチは切り離した。
そして、その中から現れた少女に溟がすぐに回復の技を使う。
「怖かったですか?もう大丈夫ですよ。
私は国家防衛機関「輪」のキイチです。こちらは溟です。名前は?」
一通り自分たちの説明をしたキイチは、すぐに少女へと問いかけた。
「サ・・・ナ」
「サナ、あなたを拘束していたものはなくなりました。助かったんです」
「ゆっくり休んでね、サナちゃん」
キイチに続いて、溟も優しくサナと言った少女に声をかけると、サナは安心したように頷いた。
mae | tugi