「完了だ。」
「ありがとうございます。」

燭に向かってペコリと頭を下げる。
今日は无の検診日でもあり、虧の検診日であった。
時間のあった虧は、无よりも先に燭の元に来て検診を受けていたのだ。

ちなみに、无にはツクモも付き添いで来ている。


「无も来たようだな」
「ですね〜」

左腕をしまいながら虧は返事を返した。

「ああ、そうだ虧」
「はい?」



●○●

「あ… あの… 本当にいいのでしょうか… こんな… こんな…
 
 こんな可愛いコ達に送って頂くなんて!!!きゃああああー!!」

「オイ、イソサさんまあ落ち着けって!」


「・・あらま、」

燭に呼び止められた虧は、久し振りにイソサと再会した。
そして、彼女を兎と羊と共に無事にとある場所に送り届けることを燭と、何故か研案塔に来ていた朔に言いつけられた。

もちろん、平門からの許可も下りているらしい。


「いいのか?」
「ん?」

「あいつらの貸し出し?構わないぜ!イソサは密猟者の殺害が続いたヴィントでの事件の後、現場の中心となってヴィントの生態系をしっかり守ってくれてるしな!正直よく頑張ってると思うぜ」

「あれだえけ羊達で喜んでくれてるんだし、今さら見送りに私だけって酷い話じゃない?」

「そうそう。それに、親しい人間と可愛がってたモンがいっぺんにいなくなっちまった訳だもんな、まあ――― そんな頑張り屋の女の子があんなに笑うならお安いってもんよ」
「そうそう」

朔の言葉に虧も頷いた。

「それに燭ちゃんの株が上がる事ならどんな事だって俺は引き受けるぜ♪」
「私の株はこれ以上上がりようがないのだが」
「燭先生・・」

どこまでも”高飛車”という言葉が似合う燭を見て、虧は面白くなり笑ってしまった。



「貴様が日頃私にかけている迷惑を少しでも返したいというならば、それはお前の自由だがな」
「うわ… ちょ… 燭ちゃーん!酷くないか、なあ虧」
「いや〜、燭先生格好良い・・」
「マジか…」



mae | tugi



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