「待ちなさい與儀!・・ッ!與儀!!!」
「あははッ!」
「ったく!與儀君!!」
銀髪頭の與儀、朔は彼のことを”銀與儀”と呼ぶ。
これは、與儀の体力が極端に低下した時に彼を護るために出てくる裏の與儀といった感じだ。しかし、面倒なことに性格がかなり歪んでいる。
そんな銀與儀を、喰、虧は追っていた。
「艇行った!?」
「まったく・・面倒だな!」
町を飛び、貳號艇に飛び込んだ與儀に続き、喰と虧も貳號艇へと続いた!
「えっ、えっ?與儀…」
「无くん!!」
「與儀君待った!!」
「FLY!!」
「无君!」
「喰く・・・っ」
見事、銀與儀に目を付けられてしまった无は、與儀に投げ飛ばされた。
しかし、タイミング良く艇の中に飛び込んだ喰によって无は保護された。
「とりあえず逃げるよ!! 虧、先に行ってる!」
「うん!」
「與儀・・・與儀!!」
「さぁ〜て、虧も鬼ごっこするでしょ〜?」
「ハア?それって、私が鬼ってこと?」
「ん〜〜違うよ、俺が おに 」
「なッ!!」
この銀髪與儀の力はあらゆる意味で突出している。
さすがの虧でも、一瞬で腕を掴まれ无と同じように投げられてしまった。
「そのまま逃げてね〜!」
「(仕方ない・・)今は引いて、喰と合流するか!」
與儀に見送られつつ、体勢を立て直した虧は、喰を捜すために廊下を走った。
「喰!」
「虧、與儀君は?」
「なんか、私にも鬼ごっこ強制してきて、それで今は追われる立場っぽい?」
「何ソレ?・・アレ、持ってるよね?」
「うん」
ポケットに手を入れながら虧は頷いた。
そして、周りに気を配りつつ貳號艇内を喰と共に歩いた。
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