「くうあ〜ねむ…」
あくびを何回もかみ殺す虧。
カチャカチャと工具を何回も変え、動かしている。
コンコンッ、
「?はいは〜い、誰だ?喰?」
夜中であるため、あまり音をたてないように扉を開けた。
「あっれ!時辰さん!?」
「久し振りだね。虧」
「どう、も・・・」
あまりに想像していなかった相手の登場に、虧は開いた口が文字通り塞がらなかった。
「どうしたんですか?」
「ああ、修理に出ていた羊を届けに来ていたんだ。まあ、すぐに帰るよ」
「わざわざ!? なんで、、って、服まで作業員のもの着て・・・」
「いいじゃないか!サプライズだよ!」
「まんまですね…」
苦笑いを虧は時辰に返した。
「それより、平門さんに怒られますよ?」
「そうなんだよね。でも・・あ、やっぱり」
「?」
時辰という男は、虧の部屋の中を覗き込みながら言った。
「虧が自分で直してるのもあると」
「ああ、もしかして数合いませんでした?」
「いや、そこは大丈夫だ。ただ、気になったんでな」
「はあ、」
「コチラに任せればいいだろ?無駄に仕事が増えずにいいのに」
「でも、約束したんです。友達、と」
「そうか。では、僕はこれで。くれぐれも平門には陰口を言わないよーに!」
「分かってますよ」
あくび交じりに時辰に返せば、彼は満足そうに虧の部屋を後にした。
「平門のこと、よろしくな〜」
「はいはい、了解です!」
時辰を見送ると、虧は羊修理の作業に戻ったのだった。
19:修理
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