「だからさ、そこまで頭堅い?」
「堅い?喰様が意味分かんないだけでしょ」
「意味分からないのは絶対に虧だろ・・、あ、いた无君!」
「喰くん!虧ちゃん!」
なんやかんやで喰と一緒に居ることが多い虧は、喰と共に无を迎えに来ていた。
「出かけるよついて来て」
「おでかけ!? お買いものなの?」
「違うよ、」
「?じゃあ…」
「嘉禄さんが目、覚ましたって」
「カ・・・」
「嘉禄が!? 元気になった!?」
「いやまだ目覚めただけだって話なんだけど、燭先生が嘉禄さんと君を会わせたいんだって」
「どうする无くん?」
「行くでしょ?」
「うん!!」
●○●
「燭先生」
「来たか」
嘉禄という人物に无を会わせてどうなるのかはまだ分からない。
しかし、とにかく无達は研案塔に来た。
「嘉禄は…!?」
「奥だ、来い」
「まだ安静状態だ。無理はさせるな ――大声を出すな。話かけすぎるな。体をゆするな。分かったな?」
「うん!」
「大丈夫なのかな?」
「分からないね、でも・・」
“何か”あるのかもしれない。
と、虧と喰も燭と无の後に続いた。
「嘉禄・・・?嘉禄!!」
「(あの人が・・)」
嘉禄と呼ばれた人物は、无から視線を外した。
そればかりか、嫌そうに眼をつぶってしまった。
「よし分かった。まだ話せないようだ。虧、喰、」
「「ハイ」」
必死に嘉禄の名前を呼び続ける无と、それを拒否する嘉禄。
やはりまだいい結果は出ないと早々に判断した燭の言葉に、虧と喰は頷いて无の手をとった。
「无を連れて今日はここで一晩待機しろ」
「了解、燭先生」
「失礼します。」
「あ・・・っ」
mae | tugi