「それにしても、一狼三さんとちゃんと喋ったの久しぶりだよね〜〜最後に艇にいたのいつだっけ?」
「ちょうどアレだろ、无と花礫が貳號艇に保護された日だ。あの晩のカヴァンの調査には平門と行ったな」
「うえ〜、そんな前だっけ!?」

「てか、来てたんですね、あの辺りに」

「お?虧も点滴か?」

「はい。一応受けてけって燭先生からの伝言なので」


先日の戦いで、火不火の重要参考対象 黒白 という男を追い詰めたまではいいが取り逃した。
ただ、当初の目的、嘉禄の救出には成功した輪。今は、その嘉禄を研案塔で預かっているところだ。
虧も、このことは燭を護衛してその後に知った事だが、そのまま研案塔で待機を要請されている。そして、いるならついでだと燭に言われ、検診やら栄養補給やらに時間を使っているところでもあった。


「そうか。なら與儀の隣に座って、でなあ、この間久々に艇に帰ったら羊に「久しぶりメェ」って言われたぞ。アイツ等ちゃんとバレない範囲で声かけてきやがる」
「あははっ」
「さすが羊さん、抜かりないね」
「だな。・・與儀、それもう外していいぞー」

「あっ、ハーイ!」

「それと、パッチも今日からいつものだ」
「ふえーい」

一狼三にそう言われた與儀は、虧を残して先に部屋を出て行った。


そのため、必然的に虧と一狼三の2人だけになるのだが・・


「で、今回は與儀を使わずに終わったか」

與儀が部屋から遠ざかるのを確認してから、一狼三は虧に問いかけた。

「あ、はい。今回は私だけでなんとかヴァルガは一掃できたし」
「そうか。しっかし、お前も成長したな虧」

「でしょ!私だって日々の訓練は欠かさないんだから!」
「そうだな。これからも、なるべくなら・・」


「與儀に頼れない。からね」

「ああ。よし!虧もそろそろいいぞ」


「はーい!」

虧も点滴を抜いてもらい、部屋を後にした。



●○●

「花礫くんがね〜」

「平門、本当に性格悪いわねー」


ここは貳號艇のデッキ。
未だに虧もしっかり会った事はないが、嘉禄は無事に研案塔で保護され、今は怖いくらいに世間は静寂を保っている。

そんな中、花礫が艇を降りることになったのだ。



mae | tugi



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