「………っあ!羊さん!」
《虧メェ》
「あの大男は?」
《今イヴァト会ッテ、イヴァガ追ッテルメェ》
「……そう」
「虧」
「平門さん!」
與儀達と別れ、逃げていった大男を追うために羊と合流した虧。
そこへ、タイミングを見計らったかのように平門が現れた。
「お前はもう休んで良い。」
「………。ここまでやらせといてソレですか?っま、休めるのはいーけど」
「でだ、虧はこのまま壱號艇へ行ってほしい。」
「まさか休む間もなく壱號艇のメンテナンス?」
「いや、休暇を壱號艇でとってほしいのでね。」
「……………」
「怪しんでいるな」
「まぁ〜ね」
虧は手を頭の後ろで組みつつ平門を見た。
「先程見ただろう、黒髪の青年と、白髪の少年を」
「あ、ああチラッと?」
「あの2人に今はあまり刺激を与えたくないのでね。」
「影響の間違いじゃ?」
「……そう、とも取ってもいいかもしれないな。」
「……………」
「眉間のシワ。」
ツンとおでこを押され、虧は一歩後ろへ下がった。
「とにかく、私は今あの2人といない方がいいわけね!壱號艇に行ってればしばらくは平門さんに会わなくてすむし、良いことだらけじゃん!」
「そうか、それは良かった」
○●○
「と!いうわけで、お世話になります!」
「おう!久しぶりだな〜虧」
「お久しぶりです〜」
「服とかは、こっちにもあったよな?」
「うん。身一つで来ました」
虧が壱號艇に入り歩いていると、壱號艇長 朔、壱號艇闘員 キイチが迎えてくれた。
「アチラも、大変そうですね」
「ま〜ね〜… でも、私はさずっと内で機械とお友だちしてたからよく知らないんだ」
「お前も行ったり来たりで大変だな」
「だから言ってるじゃん!壱號艇に置いてって!私の実力なら壱號艇でやってけるんでしょ?!」
「でも、こっちには僕がいるからね」
「喰!出たなこのクソッタレ眼鏡!」
「ははーっお前らも大概仲悪いな」
「まったく、こんなのでやっていけるんですかぁ〜」
心底楽しそうに笑う朔、呆れるキイチ。
なにを隠そう、虧はとにかく喰が嫌いなのだ。端から見たら仲良く見えるので、本人からするとたちが悪い。
「はいはい。誉め言葉。誉め言葉。」
「その白々しい態度も……!」
「まあ、今回は少し長い期間こっちにいるみたいだし、仲良くしようよ?」
「私からは願い下げです!」
「まったく面白いな!そんなことよりそろそろ飯にしよーぜ!飯!」
「さっ、行きますよ」
「「…………」」
01:休暇
mae | tugi