「與儀ッ!!!」
「與儀君!!」
先に研案塔へ向かっている與儀を追いかけていた虧と喰、そしてキイチが與儀に追い付いた時、彼は抱えている少女を庇うために背中を思い切り能力態にえぐられていた。
「まったく・・!!」
悪態をつきながらもキイチはすぐさま応戦した。
「與儀さん!その子をこちらに!」
「キイチ、ちゃん・・」
「早く!!」
叫ぶキイチに少女を渡し、與儀は一旦地面に降りた。
「與儀!大丈夫!?」
與儀に虧が駆け寄る。
「あの子のことかばったのは偉いけど、コレは酷過ぎ・・」
虧は與儀の背中を見ながら言った。
與儀の背中からは血が滲み、溢れている。
「ごめん・・俺がもっとしっかりしてれば・・・」
シュンと頭を下げる與儀に対し、虧は容赦なく彼の頭をはたいた。
「いった!!!」
「落ち込まない!私なんて何回任務で怪我して燭先生に怒られたと思ってんの!このくらいなんとでもないでしょう!!」
「・・虧ちゃん」
「さっ、立って!とにかく・・この周りの能力態、蹴散らすよ!!」
そう言ってまわりを見渡す虧にならい、與儀も辺りを見た。
そこには、自分達を取り囲む無数の能力態がいた。
「どうやら、彼女の匂いを嗅ぎつけて来たみたいだね。」
「喰君・・」
「僕はキイッちゃんを追うよ、2人で大丈夫?」
「平気に決まってんでしょ!ね、與儀」
「――うんッ!!大丈夫だよ喰君、」
「分かった。無事にキイッちゃんを研案塔まで送りとどけられたら戻ってくるから!」
「うん」
虧が頷くのを確認し、喰は勢いよくその場を離れて行った。
そして、それを合図にしたかのように能力態が虧と與儀目掛けて飛び出してきた――!!!!
「行くよ!與儀!!」
「うん!虧ちゃん!!」
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