「燭先生、ソレ取っていただきたいんですが・・」
「どれだ」
「ソレですソレ、ピンクペッパー」
「ああ、」
向かい合い座り、2人は夕食をとっている。
「それにしても、今日は疲れちゃいましたー」
「何を言っている。今日の仕事量は少なかった」
「いや・・いつもとやってることと、場所が変わるとちょっと気疲れすると言うか・・」
フォークを唇に当ててうーんと体を揺らす虧を燭はため息混じりに見た。
「行儀が悪いぞ」
「・・ふぁい。」
燭に言われ虧は椅子に座り直し、目の前にあるパスタへとフォークを持っていった。
「美味しいですね、このパスタ」
「支給のものだがな」
「輪だっていつもそうですよ?料理にさく時間がなくて楽ですけど」
「そこはもっと意欲的にならないのか?」
「なかなかならないですねー・・お母さんは料理上手でしたけど、それぞれ向き不向きってあるし、」
「何か覚えているレシピもないのか?」
「そうですねー… ポトフなら・・」
「健康にも良さそうじゃないか」
「今度作ります?」
「私とか」
「一緒の方が楽しいし、頼もしいです!」
嬉しそうに身を乗り出す虧の姿におされながら燭は頷いた。
「!!いいんですか!?約束ですよ!!」
「ただし、今回の研案塔での仕事をしっかりとこなすように。」
「はいっ!!」
燭から了解を得て嬉しくなり微笑む虧。
「ほら、話はいいから早く食事をすませるぞ」
「あ!はい!」
「燭先生、先生の1口下さい」
「・・好きに取っていい」
「ええー!?」
「なんだ!?」
「そういう時は・・」
――ピピッ
「ん?」
「呼び出しですか?」
静けさが心地いい部屋に機械音が響く。
それは、研案塔へ能力体に襲われたらしい人が運ばれてきたという連絡だった。
「虧、お前はここにいろ。もし平門から出動の連絡があるようならソレに従え!いいな」
「ああ!待って下さい燭先生!私も行きます!」
椅子から勢いよく立ちあがった燭に続き、虧も上着を羽織り直し立ちあがった。
「・・分かった。」
「飛びましょうか?そっちの方が早いですよ!」
「ああ、頼む」
燭が頷くのを確認し、虧は燭をしっかりと支え先を急いだ。
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