「起きろ、いつまで仮病を使う気だ」
「・・仮病じゃないもん」
「仮病だろ、いい加減にしろ!」
「ぎゃああッ!!」
保健室のベッドの中、気持ち良く横になっているところを無理矢理起こされた虧はブーブーと文句を言いながらそこから降りた。
「シワになっている」
「あ、ありがとう燭先生」
制服のまま横になっていたせいでスカートのプリーツが乱れていた。
それをパタパタと優しく保健室勤務の燭が叩いた。
これは燭だからこそ「セクハラ!」と文句を言われない行為だろう。
「燭先生紳士〜」
「からかうな!さっさと教室に戻れ」
「えー、」
「学生の本業は勉強だ。後で後悔するんだ、嫌でも勉強はしろ」
「・・燭先生厳しい、」
「教師として当たり前の発言だと思うが?」
「あーもー!燭先生が担任ならよかったのにー!」
「ほら、さっさと自分で行かないと来るぞ?」
「誰が?」
「平門が」
燭がその名前を口にしたのとタイミングを合わせたかのように保健室のドアがガラガラっと開いた。
「迎えに来ましたよ、虧」
「うわッ!! ホントに来た平門先生!!」
「なにお化けでも見たような顔してるんです」
「いや、だってタイミング良すぎでしょ!?」
「さ、燭さん教え子がお世話になりました。」
「ああ。さっさと連れて行ってくれ」
「燭先生酷い!!」
虧は高校に通うごく一般の女子。
ちょっとサボり癖があり、好きなタイプは年上ということが難点なくらいだ。
今学期からは去年までの担任と別れ、新しく平門という教師に面倒を見てもらっている。
虧の通うこの学校は、総合成績優秀者からクラスが1組、2組と下がっていく。
彼女が所属するのは2組だ。残念な話、去年は1組だったのだ。
「虧、貴女何で2組に下がったか知らされていない訳ではないでしょう」
「・・それは、知ってる」
「ならちゃんと授業を受けなさい。」
「・・あーはい!」
そう。虧がクラスを下げた理由は”さぼりが多すぎる”ことである。
「ああそうだ」
「はい?」
「これから授業をさぼれないように対策を考えたからな」
「は?」
虧は口を開けて平門を見た。
01(××××××)
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