「ふあ〜「虧ちゃんっ!!」

「うわッ!?」

いきなり現れた與儀に手を引かれ虧は貳組の中を走らされた。


「ちょ・・っと!與儀!?」
「とにかく走っ…うわ!!」
「何!?」

「與儀、見つけた」

「しまった!」
「だからなんなのちょっと!!」

曲がり角から現れたツクモ、彼女の姿を見て一気に来た道を戻って走り出す與儀。
虧は未だに何が何だかわからずにいる。

「あ、與儀!」

「无ちゃん!! ツクモちゃんに見つかっちゃった!走って!」
「ええ!うん!」

「无くん、コレなんなの!?」

虧の隣を走り出した无に問いかけた。

「えっとね・・どろぼうとけいさつ、だって!」

「はあ!? こんな狭い所で!?」

所謂、ドロケイというものか・・。
差し詰め與儀と无は泥棒。追いかけてくるツクモは警察役なのだろう。

「てか、私関係ないんだけうわッ!!!!」

まだ走り続けている與儀に抗議の声を上げるも、すぐにそれも出来なくなった。

「ああ!虧ちゃんッ!!」


「虧〜いつから参加してたの?」
「喰ッ!!」
「言ってくれなきゃー、でも・・與儀君と一緒に走ってるってことは泥棒だよね!はい、捕まえた〜」
「ハア!? 不可抗力!不可抗力!私はたまたま與儀に手ぇ引っ張られて!!」
「言い訳はなし!」

喰にガッチリ首のあたりから腕を回され掴まっている虧は、喰にズリズリと引きずられた。

「くっそ・・!與儀!アンタ後で覚えときなさいよ!!」

「ええ、っと・・!」
「與儀!ツクモちゃん来るよ!」
「え!? と、とにかく今は逃げなきゃ!ごめんね虧ちゃーーん!!」


そう言い残してさっさとその場から走り去った與儀に、今度会ったら何をしてやろうか考えつつ虧は喰に従った。

「で、どこに連れてく気?」

「ああ、掴まった泥棒は牢屋に入れておかなきゃでしょ?」
「だから?」
「平門さんが協力してくれててね〜牢屋は平門さんの部屋になってるんだー」
「ハア!?」

楽しそうに笑う喰に、虧は頭突きを食らわせてやりたかった。

「あ、もう花礫君いるから、仲良く捕まっててね〜」

「ふっ・・ざけんな喰!!!」

それでも、貳號艇の中には楽しそうな声が響き渡っていた。



光の中で生きる子供





mae | tugi



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