「あら、」

「あ、イヴァ!」


貳號艇の中、平門の部屋の前を歩いていた虧は、そこから出て来たイヴァと目があった。

「帰ってたんだねイヴァ」

「ええ久し振りよ〜疲れたわ〜」
「お疲れ様」

ぐっと寄りかかってきたイヴァを虧は優しく受け止めた。

「あー癒されたい・・」
「ツクモちゃん呼んでこようか?」
「ツクモにも癒されたいけど・・虧も協力してよ〜」
「協力?」

「そうよ!ちょっと着いてきて」
「え、ああ・・!」

グイグイと腕を引かれ、虧はイヴァの後を着いて歩いた。




「さっ!楽しむわよ〜!」

「衣裳部屋で?」

虧が連れてこられたのは衣裳部屋だった。
数え切れないほどの衣裳、特にドレスが保管されている。

「虧ちょっと来て」
「うん」

何をこれからするのかなんとなく分かった虧はちょっとばかり面倒な気分になったが、今まで貳組を離れて仕事をしていたイヴァのためにそんな気持ちは抑え込んだ。


「コレ、着てみて」
「これ!?」
「嫌とは言わせないわよ?」
「分かってるって」

イヴァからドレスを受け取り、それに着替える。


「こんなもん?」

「ヤダ!やっぱり似合うじゃない!」
「そうかなー?」
「そうよ!! もー虧可愛いんだからもっと自信持って可愛い服着なさいよ!」
「いやいや、やっぱりパンツが安心するし?」

虧のドレス姿に喜ぶイヴァに、虧は苦笑いを返した。

「あ、じゃあコレならどう?普段身につける小さい所から可愛くしていきましょうよ」
「ん?・・ピアス?」

そう言ってイヴァが虧の手のひらにのせたのは、サーモンピンク色をした小さな薔薇のピアスだった。

「あ、じゃあコレ1個イヴァが持ってて」
「え?」
「お揃いってゆーか、同じものを持ってるのってイイ感じじゃない?」

「そうね!そうしましょうか!」

虧の提案に、イヴァは嬉しそうに微笑んだ。



姉とピアスのかけら





mae | tugi



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