「さっ、帰るとするか!」
「はい」

パッと笑う朔に対して頷くと、虧は地面に足をついた。


「それにしても珍しいですよね」
「なにがだ?」
「朔さんと2人で任務なんて」
「だな〜!ま、コッチの人手が足りなかっただけなんだが・・わざわざすまないな」
「いえ、別に大丈夫です」

「朔さんこの後なにか予定あるんですか?」

隣を歩く朔を見て虧は問いかけた。


「いや、なにも」
「じゃあ、どっかで呑んでいきます?」
「お!! いーなソレ!」

虧の提案に、朔は嬉しそうに返事を返した。

「まあ、あんまり遅くなるとキイチに怒られるけど」
「はは、確かに・・キイチちゃんは良い闘員ですね〜」
「まあな〜でも厳し過ぎないか?しかも最近言葉使いもキツイし」
「それは、朔さんだからじゃないんですか?」

ニヤッと笑ってみせた虧に、朔は苦笑いを返した。


「お前も、いい闘員になったな」
「そうですか?」
「おうそうだ!まさか冗談言ったり上司に喰ってかかってくるようなヤツとは思わなかったしな!」
「ええー!? 喰ってかかったりしてないですよ!」
「平門にはしてるだろ?」
「アレは・・元々苦手なだけです」
「苦手ね〜」
「なにニヤついてるんですか!!」

何故か可愛いモノを見るような目で自分を見てくる朔を虧は訝しげに見た。


「手でも握るか?」
「はい?今の話で何でそうなるんですか?」
「いや〜なんとなく?」
「なんとなくで手ぇ差し伸べないで下さいよ」

視線の先に現れた大きな手をぱちぱちと叩きながら虧は朔に視線を移した。


「いいじゃねーか減るもんじゃねえし、な!」

「なって・・」

仕方なく虧はその手を取った。


しぶしぶ握ってみたものの、大きく温かいその手はとても心地が良く、虧は無意識にきゅうっと朔の手を握り返した。


「良い雰囲気だな〜」

「ソレを言っちゃう辺りが朔さんですよね〜」

朔の言葉に虧は苦笑いを返した。



そして、手を握りながら2人は陽の傾く空の下を歩いた。



兄と夕方の帰り道





mae | tugi



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