「ん?」

貳號艇の自室にて、暇を持て余している虧のPCからメール受信の音が鳴った。


「・・えっと、」

PCのメール受信画面を開いて虧は目を見開いた。
そのページ、受信ボックス欄の先頭に表示されている文字・・


「時辰、さん」

わざわざ時辰が自分にメールを送ってくるなど滅多にないため、虧は無駄に憶測をはたらかせ、メールを開くのを躊躇った。

「ああ、でも開けないと・・」

後から文句を言われても困る!と、意を決してメールを見ていない事を示すアイコンをクリックした。



●○●

「よお〜虧!来たな!」

「来たな!・・じゃないですよ!呼んだのソッチですからね!」

「だって、暇なんだろ?僕も暇だから丁度良いって思ったんだが」
「いや、なんでソレ知って・・平門さんか」

突っ込んでも無駄な話はもうやめることにして、虧は促されてもいないが近くにあったソファに腰を降ろした。


「で、暇ならどうなんですか?」
「ああ、一緒にプラモ作らないか?」

心の底から楽しそうに笑う時辰を見て、虧は降ろした腰をすぐに上げた。

「帰ります」

「いや待て!!仮にも上司だぞ!」
「とはいっても、あんまり関りないじゃないですか、」
「じゃあ、一緒にプラモ作ってくれたら何か1つ願い事聞いてや「じゃあ私を壱號艇に移して下さい」
「それは無理だな〜」

虧の要求を笑顔で拒否した時辰を見ると、虧は止めた足をまた動かした。

「それは仕方のないことだろう!それより、最高技術審議官に直々に呼ばれたことをもっと喜んで誇りに思え虧!」
「・・分かりましたよ。で、何作るんです?」

「おお!よく聞いてくれた!ソレは・・実物1/3スケール ラコーゼスプラモ!」
「…なんですか、ソレ」
「お前――ッ!知らないのか!!」
「はあ・・世代じゃないですか?」
「なんてことだ・・だが、虧となら一瞬で完成させることができると思っている!さあ!取り組もう今すぐ!!」
「はいはい分かりました、手引っ張らないで下さい」

時辰に腕を引かれ、虧はプラモの部品の置いてある場所へ向かった。


「・・てゆーか、なんでこんなぐちゃぐちゃなんですか」

「ああー、それはなー・・」

虧は目の前にゴミのように積まれている部品の数々を見て眉をひそめた。
プラモを作るのならば、もっと綺麗に部品を整理する方が得策のはずである。

「燭にお辞儀をしてな、」

「ハア?」

時辰の言葉に、虧は更に訳が分からなくなった。



49:作成





mae | tugi



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