「なあ、アレどう思う?」
「なにがですか?」
現在地は研案塔。
朔の隣に座る喰が視線の先は変えず、朔に返した。
「アレだよ、アレ・・燭ちゃんと虧」
「ああ、どうって?親鳥についてく雛・・かな」
「ブハアッ!!なんだそれ喰笑える!!!」
「ちょっとハア!? 折角考えて返してやったってのに!」
「いやいやスマン・・それにしてもその例えがまんますぎてな・・クク」
喰の返答に笑いがなかなか止まらないのか、朔は未だに自分の腹を抱えている。
「で、あの2人がなにか?」
「いや〜な… いつまであのままなのかなって、な」
「いつまでも、じゃないですか」
「それは困るな〜」
「別に僕は困らないですけど」
「そりゃあ、俺達に直接なにかあるわけじゃねえし、気にしなきゃいいんだけどなー。なんかいじらしいんだよな」
「はあ・・」
うんうん。と頷きながら、朔は再度視線の中に燭と虧を入れた。
機敏に動きまわる燭の後ろをついて回ったり、燭の近くにある椅子に腰を降ろしたりする虧。
虧はどれだけ動き回っていても、燭のことは視線からずっと外していない。
「お、」
「あ」
そんな虧を見ている2人の視界に、とある人物が乱入してきた。
「平門さん、か」
「ああ〜アイツもな〜」
「で、アレはどうなんですか?」
「どうなんだろうな〜」
燭にひっつく虧を楽しそうにからかい、そして自分の方へ引っ張ってみている平門は、誰が見てもイイ笑顔だ。
平門の方へは行く気がない虧は平門に対して反抗しているが、そんな2人に挟まれる燭には青筋が浮かんできている。
「平門も、虧のことずっと気に入ってるからな」
「そりゃあ、見てればわかります。」
「あれで結構分かり易いよな〜アイツ」
「まあ。・・で、そういう朔さんはどうなんですか?」
「俺か・・?」
「俺は・・・・兄的存在かな」
「そうですか」
朔に対し、喰は短く返事を返した。
「そういうお前はどーよ」
「ハア?ないない」
「そうなの?」
目をぱちくりさせる朔を見て、この話題にはもう興味ないですよ。と返し、喰はまた騒がしい虧達3人へ視線を移したのだった。
第三者の暖かい目線から
mae | tugi