「これはいったい、どうゆう・・」
平門と合流した喰は、虧と燭が吸い込まれていった場所を見て目を細めていた。
そこには、黒い池などなく、光り輝く澄み切った湖しかなかった。
「もし、」
「はい」
「この湖を使い、能力体が渡って来たのだとするならば、この先を流れる川を辿れば燭さんと虧を逸早く見つけられるはずだが」
「今、イヴァさんも貳號艇で捜索してくれてますし、」
「我々はこのまま飛びますか。」
平門の言葉に頷き、喰も続いた。
●○●
「子供達の遊々≪ピッピロンド≫!!」
虧は叫び、腕を振り、能力体を倒し続けた。
「まだ、湧いてくる気!?」
止まない能力体の数々・・。
いい加減、虧も嫌気がさしてきた。
「でも・・私が倒れたら燭先生に危険が及ぶ!」
燭を護る!それだけのために虧は技を使い続けた・・。
「それにしても・・(火不火って、こんなお粗末なやり方だったっけ・・?)」
それは、戦いながら虧がずっと気になっている疑問点だった。
「(確かにこれだけ能力体がいればコッチの体力も落とされる・・でも、前は、・・そうだ!嘉禄さんを助ける前はもっと計画性があったっていうか・・・数だけいればいいみたいな戦い方じゃなかった)」
心の中で自分の中で湧きあがった疑問と戦い、表面では能力体を倒していく。
「ヘルネ・・ッ!!」
もう一度技を繰り出そうとした時だった、とうとう体に限界が来たのか、虧は腕を振るうことができなかった。
それを確認した能力体は虧に攻撃を仕掛け、よろめいた虧はそのまま地面へと墜落した。
「虧ッ!!」
そこにすぐさま燭が駆け寄った。
「・・あ、かり・・・・先生・・」
「馬鹿かお前は!一体何回技を使い続けた!」
「・・ん、でも・・・・そうしないと!燭先生が!」
「私のことなどいい!早く傷を見せろ!」
怒鳴るように言う燭に、体を起こされ、擦り剥いた箇所をチェックされる虧。
しかし、虧は燭のその手をそっと押し戻すと、燭に向き直った・・。
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