「无、」

「なに、嘉禄」

「・・。」

今日、虧は朝から嘉禄の部屋に无と共に邪魔していた。

目の前で楽しそうに触れ合う无と嘉禄を、ただただ見ているだけの仕事だ。


「虧ちゃん・・?」
「ん?なに?」
「つまらない・・?」
「うんん、そんなことないよ」

ボオーっと2人の事を見ていると、心配になったのか无が虧に駆け寄ってきた。


「でも、」
「无くんは嘉禄さんと遊んで、ホラホラ」
「ええっ、でも虧ちゃんも、」

ぽん!と无の背中を押すと、逆に虧の手が无に掴まれた。


「虧さん、」

「嘉禄さん?」

「无もこう言っているんだし、此方に来て下さい。」
「ほら!ね!」

「・・・。分かった」

嘉禄にも手を引かれ、虧は腰を上げた。


「それで、なにしてたの?」

「これ!本読んでたの!」
「ほほ〜、无くんには難しいんじゃない?」
「大丈夫!俺、頑張る!」
「ははっ、そっか」

キッ!と気合いを入れるようにする无が面白くて虧は笑ってしまった。
そして、无と一緒になって近くにあった本を手に取り読みだした。


「・・・」

「・・?嘉禄さん?」

フと視線を感じてそちらを向くと、嘉禄が虧の事を見ていた。


「あ、・・いや、」

「・・?」

「无と仲良くしてくれていたんですね。」
「・・まあ、初めから仲が良かったわけじゃないですよ?」

无の頭をぐりぐり撫でながら虧は嘉禄に言葉を返した。

「无も、貴女のことを凄く信頼しているようだ」
「そうですか?嘉禄さんには負けるでしょう」
「いや、」
「・・、嘉禄さん、」

「はい」

「もしかして・・、」

2人だけじゃなくてちょっと寂しいんじゃないですか?
无くんみんなに取られちゃいそうで、とか?

そう言った虧に、嘉禄は慌てた様子で反論をした。


「大丈夫ですよ!无くんは離れて行きません」
「それ以前の・・ッ!!」
「はい!言いませんよ?みんなには」

そう言って笑う虧に、嘉禄は困ったように笑い返した。



一人でもなく三人では多すぎて





mae | tugi



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