「目醒めたか」

「ん・・、ああッ!! 燭先生ッ!?」


「良く寝ていたな」
「・・は、い」

ちょっと待て・・。
現時刻は・・朝だよな?アレ?なんで燭先生が目の前に・・?!

と頭の中が爆発しそうな勢いで情報処理とそれまでのいきさつを思い出そうとする虧。


「・・・・と、」

極めて慎重に、虧は自分にかぶせられてある毛布を上へ上げた。


「・・穿いてる。というか… 着てる。」
「あたり前だろう。」
「!」

燭に聞かれないように呟いたにも関らず、虧の声は見事に燭へ届いていたらしい。


「てゆーか!なんで私ここで!燭先生のベッドで寝てるんですか!?」

「・・・・」

虧の言葉を聞き、燭は眉間にシワを寄せた。

「本当に何も覚えていないのだな。」
「・・・恐縮です・・すみません」

そう言う燭があまりにも迫力があったため、虧は今一度毛布をかぶり直した。


「何をしている、仕事に行かないか!」

「ええっ、でも・・心に整理が全くついてな・・!!」

声を出して燭に反論しようとした虧だったが、急に頭痛に襲われ、言葉を止めた。


「そろそろ思い出さないか?」
「ああー・・、ちょっと待って下さい。…えっと、・・・・・・ああ!」

思い出した思い出した!と虧は手を叩いた。

「朔さんに凄い美味しいワインを呑まされて・・で、」
「倒れるまで呑んだんだ。」
「あ、はは・・すみません」

「虧、お前も酒を呑むのならば、節度を守らないか」
「・・はい」

燭のもっともな言葉に、虧は素直に謝った・・。


「それでは、状況も分かったところで仕事に向かうぞ。」

「・・、はい」

酒のせいだと分かった途端、虧の頭痛は痛みを増した。


「それから、」
「はい?」
「平門から、今日は研案塔で私の手伝いをしろとのことだ。」
「え!?本当ですか!!!やったーーーーッ!!」

それまでのグダグダ加減はどこへやら、喜ぶ虧の姿を見て、燭はいつもの調子で息をついたのだった。



朝起きて目を合わせること





mae | tugi



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