「虧〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「ングッ!!」
研案塔にて・・
歩きながらサンドイッチを食べていた本人も悪かったのだろうが、虧は予想もしていなかった大きな衝撃により、サンドイッチの巨大なカタマリを、噛み砕く前に喉に押し込むことになってしまった。
「げほっ!!――――ちょっと、ナニ!?」
「元気にしてた?虧!」
「え・・、アンタ!!」
目の前にいる人物を見て虧はそのまま気を失って倒れたい気分になった。
「與儀!!」
「久し振り〜」
“與儀”といっても、虧の目の前にいるのは、髪の色が銀色のイレギュラーな與儀だ。
「ちょっと付き合って!」
「ハッ!?」
言葉と同時に虧は與儀に抱きかかえられ、物凄い勢いで研案塔を抜け、空を飛んだ。
「付き合う・・って!何に!?」
「ちょっと、気分転換!」
「はあ!?」
與儀の言葉に疑問を感じながら、ここで抵抗しても無駄だ。と虧は銀髪の與儀に抱えられたまま空を飛んだ。
「で、なにがどうしたわけ?」
しばらくして、與儀は誰の家とも知らない人の家の屋根の上で虧を降ろした。
「べっつに〜」
「別に!? そんな理由で私をこんな所まで連れてきたわけ!?」
「いいじゃんッ!! 気分転換なんだから!!」
「・・はあ、」
銀髪頭の與儀は、力はずば抜けて強いが、思考は通常の與儀よりも数倍子供なんじゃないか・・。と虧は思っていた。
「ねえ虧、」
「なに?」
帰ろうと思えば1人で帰れたが、この與儀を1人残していくことは絶対に出来ないため、仕方なく虧は與儀の隣に座った。
「なんで俺は俺なんだろうね」
「さあね」
與儀の言葉に対し、虧の返答はあっさりしていた。
「うっわ!虧酷くない!?」
「酷くないよ。・・それに、どんなに悩む事があっても、自分だけが不幸だって思う事があっても、それを自分自身で打破していくのが人生だよ?」
「・・大きくでたね、虧」
「?そういう話っぽかったから」
「ま、そっか・・・」
虧の言葉を聞いた與儀はスッと立ちあがった。
「燭の所に戻る」
「そうしなさい。」
「あ、」
「ん?」
「今日ここに来たこととか、
秘密な?」
ニヤッと子供っぽく笑う與儀に向かい、虧も悪戯っぽく口の端を上げて笑って見せた。
「分かったよ」
悪戯に秘密を共有すること
mae | tugi