平門に花礫の護衛を言い渡され、虧は花礫と共に町に降りて来ていた。
もちろん、无も一緒だ。
「で、なにか買い物?」
「ああ。」
「花礫、なに買うの?」
「ああ?普通に」
「ふつう…?」
「ま、无くんのこと見てるし、好きに買い物してきなよ、ね?」
「ああ。」
じゃあ。と一言付け加えると、花礫は1人で先を行った。
「それじゃ、无くんはどうする?」
「俺、アイス、食べたい!」
「了解!じゃあ行きますか」
「うん」
嬉しそうにする无と手を繋ぎながら虧はアイスを売っている店を捜すために歩き始めた。
●○●
「すっかり日も暮れたね〜」
「暗くなっちゃったね」
「ね」
花礫と別れたまま无と共に買い物を楽しんだ虧。
まあ、花礫がこの町にいることは分かっているので、特に気にしてはいなかったが、さすがに日も暮れ、肌寒さも感じてきた。
「花礫君捜して、艇に戻ろうか」
「うん!」
「あ、いたいた」
「花礫〜!」
花礫を捜すと行動を始めてから、本人を見つけるのに時間はかからなかった。
「さっ!帰ろう、花礫君」
「行こう!花礫!」
「あ、ああ」
「ホラ!掴まって!」
「花礫!」
「・・ん」
空はすっかり暗くなり、空気もすっかり冷たくなった。
虧は无と花礫に手を差し伸べる。
それを嬉しそうに取る无。
そして、无も自分の手を花礫に差し出した。
花礫も、素直に2人の手を取った。
冷たい空気など関係ないくらい、3人の間に流れるものは温かだった。
寒い日に手を繋ぐこと
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