「お、虧じゃん」
「朔さん、こんにちは」
「よお!」

ヴァルガとの戦いで負傷した左腕を見てもらうため、虧は研案塔に来ていた。
そして、そこでバッタリ朔に鉢合わせした。

「腕、大丈夫か?」
「このくらいなんでもないです。それに、もともと無くなったモノだし・・もしかしたら、前より便利かも。」

替えが気軽にきくし。
と返した虧に、朔は妙な表情を返した。


「いやいや、それでも体は大事にしろよ」

「・・はい」

「その返事、分かってんのか?」

グイグイと肩を朔の方に引き寄せられ、虧はそれを拒むようにした。
しかし、結局力では勝てず、朔の腕の中に顔をスッポリ埋めてしまった。


「でもなあ〜」
「は、い・・?」

窮屈な顔をなんとか上に上げ、朔を見上げる。

「お前、研案塔で働きだすと思ってたからな、意外だ・・」

「そうですか?」

「そうだろ。てか、お前のこと知ってる奴なら誰でも思う事じゃねえの?」
「そうかな・・・?」

みんなにそんな風に思われていたとは知らなかった・・と少し眉間にシワを寄せた虧は、朔に答えを返した。


「もともと、私はヴァルガから何も知らない人達を護りたいって思って輪に入團することを決意したんです。だから、別に私の中では意外でもなんでもないんで・・」

「そっか・・。いっくら燭ちゃんのことが好きでも、先にソッチの気持ちが立つか!いや〜偉いぞ虧!!」
「はッ!?え!!何!!!??燭先生が好きって、ハア!?」

朔の言葉に虧は顔を赤くした。


「ん?好きだろ?」
「す・・っ!! ハア!?」
「あ〜も〜妬けるね〜」
「ちょっと朔さん!!」

妬ける。妬ける。と言いながら、朔は虧を抱きしめる力を強めた。


「てゆーか・・!朔さん、なに!?」

「おっと、すまんすまん!お前が恋する乙女すぎてな、つい」

「別に!恋する乙女じゃないですッ!! 燭先生のことは大好きだけど!…なんていうか、絶対に護りたい人。なんです・・。」
「そっか。」

朔は虧を腕の中から解放し、そっと隣に並び直した。


「ちゃんと、護れよ!」
「はいッ!!」

朔の言葉に、虧は力強く頷いた。



恋い恋われる二人





mae | tugi



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