「お騒がせしました。」
貳號艇に帰還した虧は、ペコリと頭を下げた。
「うわああああああんッ!! 虧ちゃんよがったよおお!!お帰りッ!!!」
「ホント!! 良かった!良かったよ虧ちゃんッ!!!」
「ちょ、ちょっと!!」
直後に无と與儀にギュウギュウに虧は抱きしめられた。
「止めろ、與儀」
「ええ!? 俺だけダメ!?」
「與儀は、力が強すぎるわよ」
「えっ!! ああそっか!ごめんね、虧ちゃんッ!!!」
「いいけど・・」
コキコキと肩を鳴らしながら虧は今一度、そこにいる面々を見た。
无くん、與儀、花礫くん、平門さん、ツクモちゃん・・。
みんなに心配をさせてしまった・・。
「虧、」
「喰!・・それに、イヴァ!!」
「もお!! 心配したんだからッ!!」
「ごめんなさい、イヴァ」
「いいのよ。こうやって、虧が自分の意志で私たちを選んでくれて、帰ってきてくれたことが心から嬉しいの。」
「――うんッ!!」
イヴァの言葉に、虧は目に涙を浮かべた。
「みんな!
ただいまっ!!!!」
貳號艇に、
「 おかえり 」
という温かい言葉が響いた。
お母さん、みんな、
私は、これから本当の意味で前に進みます。
心配かけてごめんなさい・・。
私は、
「輪」のみんなと、私の力で救える人の為に、生きることを決めたのだから・・!
35:前進
mae | tugi