「・・・・」


目を覚ますと、そこは見慣れない白い部屋だった。
起きなきゃ… そう頭が命令するので私は起き上がって体勢を変えようとした………が、



ーズタンッ!!!!


「――――ッ!!」

バランスを崩し、ベッドから落ちてしまった。
こんなことなんて今までなかったのに…。
不思議に思い、私は倒れ込んだ床をよく見た。すると、そこで目に入ったのは……



肩から下がなくなっている、自分の左腕だった…。



「あっ………、アア…!!」


そこで、何もかもを思い出した。



●○●

虧を研案塔に運び入れ、寮師にそのまま虧の担当を言い渡された。
この少女は、一瞬にして住む場所も、友も、家族もなくしたのだ。



「燭先生ッ!!」
「なんだ?」
「あの子が!目覚めたのですが、暴れて…!!」

1人のナースに呼ばれ、私は虧のいる部屋へと走った。



「嫌だッ!!!はなっ……離して!!!!」

「なにをしている」


「燭先生!興奮状態のようで、収まりがきかないんです!」
「分かった。安定剤を持ってこい」

「はい!」

その場にいたナースの1人に指示を出す。
が、思わぬ反対が入った。


「安定剤はいらないのぉ、」

「寮師!」
「なにを言っているのですか!ここまで興奮しているのでよ!」

「だからじゃよ。燭、その娘を抱き締めてやるのじゃ」


どんな薬よりも効くからのぉ〜と、寮師は微笑みながらその場を去って行った。



「あの、燭先生?」



mae | tugi



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