「ふぁ?出動?」

「ああ、俺とキイチと、そしてお前だ。」

早めの夕食をとっていると、壱號艇長 朔にこう言われたのだった。
ご飯を頬張っていた虧は、見事に間抜けな返事を返してしまった。

「場所は?」


●○●

「虧」
「はあー…、まさか休暇明け一発目にまたこうして平門さんと顔を合わせるなんて…」
「そんなことを言っても仕方ないと思うがな。そもそも私はお前の上司だ」
「そうですよね…。で、今回の件て、」
「ああ。あの2人のうち1人に関係がある。」
「・・・。」

虧は、まだ名前も知らない黒髪の青年のことを考えた。
あの時、壱號艇に移動する直前に見た子だ。

今回のターゲットは、その青年にとても深い関係のある人だという。
そして、多分もう輪の力をしても…

「(”助ける”ということはできないんだろう)」

虧は、何故自分が輪に入ったのかをフと思い返した。

「結局、ある程度までヴァルガ化が進んでしまったモノは助けられない。」
「それは、今どうすることもできない」
「だからこそ、割り切るしかない。責められたとしても。」
「そうだな。」

虧は、平門とともに空を飛び続けた。



しばらくすると、戦闘の気配を感じるところまで来ていた。

下を見る。
そこには、目標としているモノ達が見えた。

「いくぞ」
「うん」


平門に続き、虧も手に自身の武器であるモンキーレンチを手にした。
そして、それを下へと投げつけた。


「・・・・・」

見事にソレは、目標するモノを貫いた。


「なんで、」

空から下を見ていると、與儀と目があった。
與儀は、今回あの青年達と共にここに来ていたらしい。

「平門さん、虧ちゃん・・」

「虧、」
「うん」

與儀の事は考えないことにした。
彼はとても優しい。だからきっと、與儀の想いを感じればそれに耐えられないだろう・・そう思った。

虧は、心を殺し、ただヴァルガを追う事に集中するため、平門の後に続いた。
そこに、心情や情けは存在しなかった。


mae | tugi



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