「どう?」


「・・・っ、」

「虧素敵よ」

鏡に映る自分の姿を見て一番驚いたのは虧だった。

コーラルピンクを基調としたそのドレスは、首周りが大胆に開いてて、そこには大きめな宝石が縫い込まれている。
膝下ギリギリの丈であるが、下にいくにつれバルーンシルエットになっているドレスは、虧の今まで着た服の中で一番可愛らしく、可憐な物だった。

「で、このネックレスをつけて、」

鏡の中の自分の姿に見惚れていると、イヴァが後ろからそっと白く細いネックレスを虧の首にかけた。

「髪も、ゆってもらいましょう?」
「そうね!任せなさい!!」

「えっ!?ああ、・・・エ!?」

こうなったらあれよあれよとドレス、髪型が決まり、結局虧もダンスパーティに向かうこととなった。



●○●

「準備はできたか?」

「ええ」

「ん?虧似合ってるんじゃないか?」
「・・・ッ!!!!」

壱號艇に向かうため、迎えに来た平門にからかわれているのだか、本当に誉められているのだかわからないが、とにかく虧は一歩下がっておいた。


「なんだ?照れているのか?」
「んなワケありますか!!」

「あ!虧ちゃ〜〜ん」

「與儀?」

「似合ってるね、そのドレス!」
「あっ、ありがとう…」

後から合流した正装した男子組。
先頭きって走ってきた與儀にもドレス姿を誉められ、虧はまた縮こまった。

「虧ちゃん?」

「虧は恥じらっているようだ、な?」
「煩い!煩い!ちょっと黙っててよ!!」

「なんで?凄く似合ってるし、可愛いよ!ね无ちゃん」
「うん!!」

「――――ッ!!!!!!

 先に行く!!!」





顔を赤くして虧は貳號艇を飛び出した。



29:衣装





mae | tugi



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