「・・・ッ!!!」
「イソサさん、大丈夫だよ」
「はい・・!」
怯えて涙を浮かべるイソサに、虧は寄り添った。
「羊さん!兎さん!殺れそう!?」
≪任せるメェ!≫
≪ウサ!!≫
「・・・・・!!!」
「ね?」
「は・・い」
羊と兎は見事に能力体を倒し、虧とイソサの前に降り立った。
≪さあ、アルディス収容所に行くメェ≫
●○●
「・・・。」
虧は、収容所の中には入らず、外でイソサと羊、兎の帰りを待っていた。
「(ま、聞かれたくない話もあるだろうし・・それに、)」
ムラノとはキリを殺めた時にハッキリ会っている。
なんとなく虧も本人には会いたくなかった。
――バタンッ!!!!!
「ん?・・イソサさん?」
勢いのいい音と共に虧が立っていた近くの扉が開かれ、イソサが飛び出してきた。
「……これで振られたって悔いなーーーーし!!!」
「どうしたの…?」
「振られ… うわあああああん…っ」
「どうしたどうした、」
何故か地面にへたり込んだイソサの事をなんだ?と見ていた虧だが、兎にクッピーに乗れと催促されたので、イソサを引き入れてクッピーに乗り込んだ。
「じゃあ、イソサさん頑張ってね!色々」
≪メェ!≫
≪ウサ!≫
「えッ、あ、ハイ!!ありがとうございます!!」
ヴィントまでイソサを送り届けた虧、羊、兎は、それぞれ手を振り、ヴィントを後にした。
イソサの顔には笑顔が咲いていた。
27:羊兎
mae | tugi