「虧ちゃん、與儀・・悲しそうだから、大丈夫だよって言わなきゃ…!!」
「うん、そうだね。つかまって」

无を抱き上げると、虧を先頭に、ツクモと花礫も再び走り出した。





「邪魔!邪魔!!」

「與儀やめてっ、みんなが心配してるよっ…「うるさい!!」

「うるさいうるさい!! 都合が悪いだけだろ!!」
「與儀、違うの・・・」
「もう来んな!!!」
「與儀ッ!」

无、ツクモ、花礫、虧で與儀を追い詰め、説得を試みるも、與儀は全く聞く耳を持とうとしない。

「與儀待って!!」

そこで、ようやくツクモが與儀を抑え込んだ。


「はなせっ…この…」
「ツクモちゃん、ありがとう」

そこに虧も加わり、さらに與儀を抑える力を強めた。

「そのままおさえてろツクモ、虧」


「與儀!あっ・・・ユッキン、與儀は大丈夫だよ…!」

やっと追い付いた无がユッキンが寄って来たことに気付き、ユッキンに声をかけた。

≪ユッキン!≫

ユッキンも、與儀が心配だったらしく、與儀にゆっくりと近づいてきた。

「!そこ邪魔ァ!!!」

「あ!」



「・・・・ユッ…

 ユッキン!!!」

「邪魔」そう言われて與儀によって吹き飛ばされたユッキンは、外面を破損しながら廊下に転がった。

「――ッ!! この馬鹿與儀!!!」

その状況を見た虧は、與儀を大声で怒鳴りつけると、腰に付けている工具の1つを手に取り、素早く无とユッキンの元へ駆け寄った。


「无くん・・」

「う… う…

 うわああああああああああん 與儀、ユッキンのこと大好きなのに 與儀がっ・・・ユッキンも與儀のこと大好きなのに…!!! うわあああああああッ」

「无くん、」


とうとう泣きだしてしまった无の背中に、虧はそっと手をおいた。



mae | tugi



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テーマ「人外ファンタジー」
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