「(无という子を殴ってしまった)」
「嘉禄さん、」
「ただ静かに、静かにありたい!なのに、どうして何に、気持ちが焦るんだ・・「何も」、」
「嘉禄さん」
頭を抱えて悲しむ嘉禄の隣に虧は腰かけた。
「私にも、ありました」
「・・はっ?」
「頭の中がごちゃごちゃしてて、何も決められなくて、イライラして」
そこまで言うと、虧は左手で嘉禄の手をとった。
「でも、焦らなくていいんですよ。
私も、周りの人に助けられて、それを受け入れられるようになってから変れましたから。それから気持ちも落ち着いた。」
「・・・」
「无くんも弱くはありません。嘉禄さんのペースで触れてあげられるようになって下さい。」
じゃあ。
と言い残し、虧は部屋を去ろうとした。
「・・君の名前は、」
「・・虧です。よろしくね」
扉を閉める前に虧は笑って見せた。
“あの時”自分に手を差し伸べてくれた人の事を思い出しながら・・。
●○●
「お、ボタン取れた」
ここはZの円卓。
今日もまた忌々しい会議が開催されている。
そこに虧もまた参加していた。
≪何か言ったかね輪壱號艇長・朔≫
「ああ〜イヤなんでも!」
お偉いさん組の言葉に朔は笑って返していた。
「(相変わらず軽いな〜、朔さん)」
テーブルに肘をつきながら虧はつまらなさそうに円卓にいるメンバー、朔・平門・燭を見た。
燭は燭で、締りのない朔を見てため息をついていた。
≪国家防衛統括塔 最高技術審議官 時辰殿、輪からの報告をお聞かせ願いたい。≫
≪かしこまりました。まず・・・≫
先日、虧も再会した時辰は、淡々と話を続けた。
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