「ここ?」

「うん!嘉禄っ、あの・・・!」


「朝ごはん、持ってきたよ!」

「……」

嘉禄という人物をまじまじと見た。
薄い寒色の髪に、冷たい視線。
寄るなと目で訴えているのが一目で分かった。


「嘉禄さん、」

无の代わりに虧が声をかけるが、反応は変わらず、ただコチラを見てくるだけだった。

「あ…あのね!これがお魚!あまい味になってるんだって、それでね!これがね…」
「っ・・・」

「嘉禄?さむい!? 待ってて!」

急に胸の辺りを抑えた嘉禄を心配して、无が声を荒げた。

「これ!毛布!療師さんが寒くしちゃだめだって…!」
「!いらない、ちがっ…」

勢いのまま无は嘉禄に毛布をかぶせた。


−しかし・・


「寄るな…っ!!」


「无くんッ!!!」

无と嘉禄の手がほんの少し触れただけで、嘉禄は无を拒否した。
それだけではなく、无の頬を思い切り叩いた。

≪メェ!!≫

「无くん!大丈夫?!」

嘉禄と无の間にすぐさま羊が割って入った。

そして、无のすぐ側にいた虧が、叩かれた勢いで尻もちをつきそうになった无をキャッチした。

「――――っ」

≪无外に出るメェ≫

「あ・・・」

「无くん、」


「うん・・・」

羊と虧の言葉に頷いた无は、ソッと部屋を出て行った。



「・・・・。」

「君も、・・出て行ってくれっ」

无をぶった嘉禄自身も苦しんでいた。


そんな嘉禄を虧は黙って見ていた。



mae | tugi



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