「これで花礫くんが暗くなることもないんだよ?!」
なんとな〜く重苦しくなってしまった雰囲気に耐えきれず、虧はあわてて声をだした。
「ヨタカ君のことだって、責めてくれて構わない。それで私たちはいいんだと思ってる。誰かを護る時、何かを犠牲にしてしまうんだから。」
燭先生は別だけど、と虧は笑って見せた。
「なあ、アンタって燭が好きなの?」
「はあッ!!?」
花礫の唐突で、素直すぎる質問に虧は度肝を抜かれた。
「いっ、いや・・なんていうか・・・」
「好きなんじゃん」
「いやいや!好きだけど・・多分、花礫くんが考える好きとは、違うと…」
「違くなくね?」
「違う!違う!なんていうか!尊敬!そう・・尊敬だよやだな〜!ねっ、それより話も終わったんだし、そろそろ部屋戻りな!?」
顔を赤くしながら、虧は花礫の退出を促した。
「あ、」
「・・あ!!」
部屋の扉を開けると、そこには喰がいた。
「捜したんだよ、花礫くん」
「なに?」
「少し、明日のトレーニングをしない?」
喰の笑顔に嫌なものを感じたが、虧は喰の後ろを付いてきている无に並んでトレーニングルームについていった。
「ねえ、喰・・何考えてんの?」
「なに〜虧、怪しんでる?」
「喰のことはいつも怪しいと思ってる!」
「全く、酷いんだから〜」
虧の問いかけに喰はこれまた笑顔で返していた。
そこがまた怪しいと虧は睨んでいた。
「じゃあ、2分 僕に捕まらないように逃げてみてくれる?」
「いいぜ」
これで花礫も快く返事をしてしまうところがまだ子供なのかもしれない。
「じゃ、いくよ」
それは一瞬だった。
それはそうだ。
輪のしかも壱號艇の闘員である。一瞬で花礫の背後をとり、喰は彼を抑え込んだ。
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