「花礫くん、私の左腕、触ってみて」
虧は、話の途中で花礫に対し、左腕を突き出した。
「!」
「冷たいでしょ。堅いでしょ。これ・・機械なんだ」
「どういうことだよ」
「うんまあさ、」
そこで、虧はまた話を過去に戻した。
●○●
「キッ・・イヤアアアアア!!!!!!」
「ッ!!うう…」
「コノ!アマ!!」
虧は、自分に近づく女の顔をぎりぎりまで引き付け、自分の左腕ごと女の顔をぶちぬいた。
その衝撃で虧の腕も吹き飛んでしまった。
「グッ・・!」
痛みに耐えながら虧は女を見た。
こんな奴に殺されるくらいなら、ここで死んだ方が・・!!
虧がそう思い、銃を今一度構えた瞬間だった。
家の屋根が吹き飛び、虧の目の前にいる女は何かに貫かれ消えてしまった。
「・・・・・・っ、」
「おい!大丈夫か!」
ピンク色が太陽に眩しく輝く髪、汗を流しながら必死にこちらに駆けてくる姿。
しっかりしろ!と残る右手をギュッと握ってくれる暖かな手。
そこで、虧の記憶はいったん無くなるのだった。
●○●
「今思えば、あの女はヴァルガだった。それをギリギリの所で助けてくれたのが輪だった。でも、町が壊滅したのは嘘でもなくて、今だって町に行けばそこはもう誰もいない廃墟になってる。時は巡って木とか草とか生えててさ、私だけ置いてかれてる気だってする。」
虧は、自分のベッドに腰掛けながら苦笑いをした。
「で、私は輪に入った。その後に色々あって、ヴァルガによる浸食とかそういうのはなかったんだけど・・、もしあの時、輪にもっと動ける人がいれば結果は変わってたのかもしれない。とか色々考えてさ。」
「・・・。」
「だからなんだって話だよね。」
mae | tugi