「バカだね。燭先生のことは尊敬してるし、悪く言いたくはないけどいい大人が・・」
「ちょっと!喰にバカ呼ばわりされたくないんですけど!」
「バカって言われるよ。僕以外にだってね〜・・で、いつまで僕のことホールディングしてれば気が済むわけ?そろそろお金取るよ?」
「うわッ!!そうだった・・!!」
それまでずっと喰の首に腕をまわしたまま話を続けていた虧だったが、すぐさま喰から離れた。
「それより・・」
「ん?」
「燭先生に報告とかあったんだ。」
「あ、ゴメン引きとめて」
「いーよ。また何かあったら聞くし」
「喰が優しいとか天変地異だね明日」
「別に優しくないでしょ。普通普通〜」
そう言って部屋のドアを開けた喰だったが、自身の携帯が鳴り足を止めた。
「ん?」
「・・あ、私のも鳴ってる」
2人で顔を見合わせつつ通話を開始した。
「喰です」「虧です」
≪出たな。2人共研案塔にいるな。≫
「はい」
相手は平門だった。
2人が研案塔に居ることは当然分かっていて、能力態の始末に向かえとのことだった。
「「了解!」」
「じゃあ、私は燭先生に一言言ってから向かうから」
「分かった。」
一旦、研案塔の中で喰と別れ、虧は燭の元に急いだ。
「燭先生!!」
「虧か、分かっている。今平門から連絡があった。」
「では、行ってきます!」
「ああ、」
燭の返事を聞いて虧は研案塔を飛び出そうとした――。
「虧」
「はい?」
「油断するな。・・それから、無理もするなよ。」
「――ッ!! はい!」
スッと頬に手を添えられ、虧はくすぐったそうに笑った。
「燭先生の言いつけは守ります!」
「そう言って何回破った。」
「――ああーっと・・今日からは大丈夫です!いってきます!」
「ああ、頼んだぞ」
燭の声を背に受け、虧は空を飛んだ。
52:約束
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